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1日目 午後の部

これより1日目 午後の部。

2-1 てんかん総論

これから総論ですか、、。
*2010年にILAEが新分類を出した。十分に受け入れられているとは言えない。てんかん診療を科学的にしていく必要があることは間違いない。
*疫学 NY 発症率 41人/10万人。有病率 8~9人/1000人=1%。
高齢者に増えてきた。特にアフリカなど新興国。
*てんかん患者は無職が多いというデータ。死亡率も2-3倍。事故、肺炎、自殺、てんかん重積発作。
*診断の問題 特に失神との鑑別。

*てんかん発作の分類a

全般発作

  • 強直間代発作(すべての組み合わせ)
  • 欠神発作
    • 定型欠神発作
    • 非定型欠神発作
    • 特徴的な欠神発作
    • ミオクロニー欠神発作
    • 眼瞼ミオクロニー

ミオクロニー発作

  • ミオクロニー発作
  • ミオクロニー脱力発作
  • ミオクロニー強直発作

間代発作
強直発作
脱力発作
焦点性発作
原因不明の発作

  • てんかん性スパズム

a:上記のカテゴリーのいずれかに明確に診断されない発作は,正確な診断を行えるような追加情報が得られるまで「分類不能」と判断すべきであるが,「分類不能」は分類の中のひとつのカテゴリーとはみなさない。

発作時の障害の程度別の焦点性発作の記述用語 a

意識(consciousness / awareness)障害なし
運動徴候または自律神経症状が観察される。これは「単純部分発作」の概念にほぼ一致する。
(発作の症状の現れ方によっては,本概念を適切に表現する用語として「焦点性運動発作」または「自律神経発作」を用いることができる)。
自覚的な感覚・精神的現象のみあり。これは2001年の用語解説に採用された用語である「前兆」の概念に一致する。
意識(consciousness / awareness)障害あり。これは「複雑部分発作」の概念にほぼ一致する。
この概念を伝える用語として「認知障害発作」が提案されている(Blume et al., 2001)。

両側性けいれん性b 発作(強直,間代または強直‐間代要素を伴う)への進展。この表現は「二次性全般発作」の用語に代わるものである。

a:明確に定義され,使用が推奨されているその他の記述用語については、用語解説(Blume et al., 2001)を参照されたい。
b:「けいれん性」という用語は、用語解説では一般用語とみなされているが、我々の理解では本用語は医学全般において様々な形で使用されており、多数の言語で通用する。したがって、本用語の使用が支持される。

*脳波・臨床症候群およびその他のてんかん

脳波・臨床症候群(発症年齢別)a

  • 新生児期
    • 良性家族性新生児てんかん(BFNE)
    • 早期ミオクロニー脳症(EME)
    • 大田原症候群
  • 乳児期
    • 遊走性焦点性発作を伴う乳児てんかん
    • West症候群
    • 乳児ミオクロニーてんかん(MEI)
    • 良性乳児てんかん
    • Dravet症候群
    • 非進行性疾患のミオクロニー脳症
  • 小児期
    • 熱性けいれんプラス(FS+)(乳児期から発症することがある)
    • 早発良性小児後頭葉てんかん症候群
    • ミオクロニー脱力(旧用語:失立)発作を伴うてんかん
    • 中心側頭棘波を示す良性てんかん(BECTS)
    • 常染色体優性夜間前頭葉てんかん(ADNFLE)
    • 遅発性小児後頭葉てんかん(Gastaut型)
    • ミオクロニー欠神てんかん
    • Lennox-Gastaut症候群
    • 眠時持続性棘徐波(CSWS)を示すてんかん性脳症 b
    • Landau-Kleffner症候群(LKS)
    • 小児欠伸てんかん(CAE)
  • 青年期‐成人期
    • 若年欠神てんかん(JAE)
    • 若年ミオクロニーてんかん(JME)
    • 全般強直間代発作のみを示すてんかん
    • 進行性ミオクローヌスてんかん(PME)
    • 聴覚症状を伴う常染色体優性てんかん(ADEAF)
    • その他の家族性側頭葉てんかん
  • 年齢との関連性が低いもの
    • 多様な焦点を示す家族性焦点性てんかん(小児期から成人期)
    • 反射てんかん
  • 明確な特定症状群
    • 海馬硬化症を伴う内側側頭葉てんかん(MTLE with HS)
    • Rasmussen症候群
    • 視床下部過誤腫による笑い発作
    • 片側けいれん、片麻痺、てんかん

これらの診断カテゴリーのいずれにも該当しないてんかんは、最初に既知の構造的/代謝性疾患(推定される原因)の有無、次に主な発作の発現様式(全般または焦点性)に基づいて識別することができる。

  • 構造的/代謝性の原因に帰するてんかん(原因別に整理)
    • 皮質形成異常(片側巨脳症,異所形成など)
  • 神経皮膚症候群(結節性硬化症複合体,Sturge-Weber症候群など)
    • 腫瘍
    • 感染
    • 外傷
    • 血管腫
    • 周産期脳障害
    • 脳卒中
    • その他
  • 原因不明のてんかん
    てんかん発作を伴う疾患であるがそれ自体は従来の分類ではてんかん型として診断されないもの
    • 良性新生児発作(BNS)
    • 熱性発作(FS)

a:この脳波臨床的症候群の配置は病因を反映したものではない。
b:徐波睡眠時てんかん放電重積状態(ESES)とも呼ぶこともある。

*以上

(1)脳波・臨床症候群、 主に年齢で分類
(2)特定の症候群. (1)ほど明確ではない
(3)構造的/代謝的. 「症候性側頭葉てんかん」などの用語は、「側頭葉の皮質形成異常による焦点性発作を伴うてんかん」のように、長いがより正確な表現に置き換える。
(4)原因不明
(5)従来のてんかんではない
ものに分類された。しかし問題はいろいろある。

*てんかん脳症 IQが低い

2-2 てんかん症候群 小児

(1)パナイトポーラス症候群PS
*1~14歳(主に4~5歳)年齢はポイント
*M=F。BECTも。
*小児てんかんの6%。良性ローランドの次に多い。
*3徴。
1. 自律神経症状(嘔吐・悪心・顔面蒼白)
2.眼球偏位→片側痙攣、重積に
3.意識混濁
*最初に出るのは自律神経 眼球、意識混濁、四肢脱力→片側痙攣、重積 70%は睡眠時。
*E 後頭葉に多い 多巣性
*PSとBECT 似ている
*3回までで終わり、が多い。良性。
*症候性でも似た発作を出すことあり。
*1回目は座薬 ダイアップで治療。

(2)良性欠神てんかんCAE
*4~7歳(5~7歳が主)
*F多い
*遺伝
*TAS定型欠神発作
*発達は正常

*定型欠神発作(TAS)数秒から数十秒。開始終了が明確。覚醒時に1日数回。自動症伴うことも。
*脳波 HV過呼吸必須。3Hzの棘徐波が全誘導にきわめて整然と反復して3~30秒出現する。光刺激で誘発されるのは大人に持ち越すことも。
*非定型欠神とは? 棘徐波が見られますが、定型欠神のときのような形の整った3Hz棘徐波ではなく、2-4Hzの帯域を持った非対称、不規則な波形。これのみが単独で起きることは珍しく、転倒発作などの重症なてんかん発作に付随することが多い。
*予後。90%以上は良好。男性M、発症年齢が高い→不良。5-10年して全般性になることも。
*治療。 VPA、ESM、LTG。CBZは禁忌。

2-3 てんかん症候群 思春期以降

*年齢別罹患率は、局在関連てんかんに関しては変わらない。

*思春期好発全般てんかん
E脳波 1.多棘徐波複合PSW 2.光刺激 3.覚醒時 4.欠神、ミオクロニー、GTC

*JAE
7~17歳(主に10~12歳)
何秒か固まっている(欠神発作)
発作、欠神。全身性強直間代発作が80%,寝起きに多い。ミオクロニー発作が15%と少ない。予後良好,発作頻度は小児のそれよりは低い。E、3-5Hz.GTCにVPA、欠神にESM用いる。

*JME
起床時、朝食時、誘因なくぴくつく。かみそりやカップ、歯ブラシを投げたり落としたり。
8~26歳(主として14歳前後)
常染色体優勢遺伝が1/3。
全てんかんの10%。
1割は熱性けいれんFs既往。
寝不足、飲酒が誘因。
ミオクロニー発作,上肢に多い。不規則な動き。自分ではてんかんだと思わない。全身性強直間代発作は少ない。欠神発作は10~30%程度。
予後は良好ながらもデパケンVPAを止めると再発する。おとなにまで持ち越すと突然死の原因に。
治療、VPAデパケン、LEVイーケプラ。CBZ禁忌。

*EGMA
寝起き。
10歳代。(14~16歳)
遺伝有。
GTC。覚醒時。
VPAで予後良好。
生活指導、1.睡眠覚醒リズム 2.自然の睡眠 朝ゆっくり 3.タバコ、カフェイン、アルコール避ける 4.光過敏のある時はサングラス

*PME
DRPLA大学院の時症例報告した。ガラクトシアリドーシスなどが原因。

局在関連てんかん。
年齢によらない。したがって高齢で多い。

部分発作(1)SPS(2)CPS
(1)SPS
a.運動発作 ジャクソンマーチ→トッド麻痺。
b.感覚発作 しびれ、ひりひり、めまい。半側視野の閃光。
c.自律神経症状 吐気
d.精神症状 辺縁系。幻覚、錯覚。発作性恐怖。デジャブ。

(2)CPS。
TLE。(1)前兆。吐気、こみ上げる上腹部不快感 (2)意識減損。凝視、無動 (3)自動症。口もぐもぐ。股間をまさぐる。 (4)発作後もうろう状態。
発作のことを覚えていない人も多いので、観察者が重要。
海馬硬化。小児期後半から青年期に多い。Op適応。
老年期はもの忘れ主訴のこと多い。
治療。CBZテグレトール→デパケン、イーケプラ。
ジストニー肢位、内側>外側で。
覚醒時に頻回。30~60秒。

*FLE前頭葉てんかん
(辺縁系)頻回で短時間の激しい両手両足の運動発作、性的、声、突然始まり終わる、夜間に多い。
(補足運動野)弓を引くような姿勢の一側上肢の硬直発作、フェンシング・スタイル。ラファエロの絵。ヒステリー発作と似ている。

*OLE後頭葉てんかん
視覚発作。閃光など。楕円や曲線。

*PLE頭頂葉てんかん
蟻走感、チカチカ。感覚がマーチする。

2-4 てんかんと脳波

必須の検査。デジタル化。

2-5 てんかん診断とMRI

局在関連てんかんで威力。

I.TLE
1.HS海馬硬化症
2.腫瘍;神経節膠腫、造影効果。星細胞腫、小児小脳、のう胞、結節。胚芽異形成神経上皮腫DENT、テント上、15歳以下。
3.血管畸形;海綿状血管腫、多のう胞、ほぼ無症候、出血、CTで1割は石灰化。
4.瘢痕病変;出生時、後頭葉に多い。

II.側頭葉外
1.皮質形成異常FCD。MRIでも検出できないタイプがあることに注意。
2.片側巨脳症。FCDの重症。
3.結節性硬化症。常優性遺伝、神経―皮膚疾患、石灰(CT)。
4.視床下部過誤腫。2歳までに発症。笑い発作。
5.異所性灰白質。

2-6 てんかん焦点診断のPET、SPECT

発作時血流が上がり、間欠期には低下することを利用する。
MRIに重ねるSISCOM。

2-7 薬物治療の基礎

*てんかん患者のQOLは薬の副作用に比例し、効果にはあまり比例しないという現実
*治療の前に、まずは本当にてんかん?
失神、心因反応、レム睡眠時行動異常症、
*初発後5年以内の再発率50%、高齢者以外。

*治療
1.いつ始める?
治療始めれば長い。
2.発作型は?
70%は薬物でコントロール可能。
まずは単剤で。

*2011年 NICE研究(UK)

全般 部分
VPA CBZ
LTG LVE、LTG
その他は症候群による。

*血中濃度
ZNS(エクセグラン)直線的。
INH(アレビアチン)急に上昇。
CBZ(テグレトール)自己誘導で下がる、その後急に上がる。

*副作用
言うまでもなく共通に、眠気、ふらつき。

3.どの程度で維持する?
*血中濃度。有効値はトラフ(投与直前値)、副作用はピークで判断。
半減期の4~5倍で定常状態。
*アドオン。
旧薬、CYP誘導が多い。下げることが多い。
新薬、影響少ない。

4.再発。
不利なこと。かぜ、寝不足、抗ヒスタミン剤、テオフィリン、月経。
コンプライアンス。
本当に再発発作?
診断は?

以上1日目の教育講演のまとめでした。

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