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平成23年日本認知症学会 学術集会出席・覚書 (その1)

平成23年日本認知症学会 学術集会出席・覚書 (その1)

平成23年11月11日から13日まで、第30回日本認知症学会 学術集会(@東京・船堀)に出席しました。
三日間にわたり、出席したレクチャーやオーラルセッションの順に、これは、と思う内容の覚書を順次アップ。 頭痛学会の覚書より内容がはるかに多いので、まとめ方は箇条書きになり、解説もつきません。
しかしそれでも、ご家族の物忘れ・認知症に悩む方に、そして学会に出席できなかった専門家に、必ず役立つ内容です。

1日目

A.教育講演I

1.大脳白質病変と認知症・認知障害
白質病変は、軽度であれば無症状であり、必ずしも症状との関連はないと考えられているが、高度であれば神経症状の原因となる
(1)白質病変は、実行機能障害・Working memoryの低下と関連する
(2)白質病変が高度であれば、将来の認知能の低下が早い
(3)白質病変の高度さは、歩行バランスの悪さと並行する
(4)皮質下血管性認知症はラクナ梗塞を主体とする多発ラクナ梗塞と、高度白質病変を主体とするビンスワンガ―病(BD)の2つの病型に分けられる
(5)BDでは、白質病変が認知症の責任病変である
(6)白質病変は、アルツハイマー病(AD)でも見られるが、アミロイド血管症(CAA)が原因と考えられる
(7)ADの白質病変は、高齢で増え、脳室周囲低吸収域は重症度に比例
(8)BDの白質病変は前方優位、ADの白質病変は後方優位
(9)白質病変の危険因子は、加齢、高血圧(HT)>女性>糖尿病(DM)>喫煙、の順
(10)HTがあると、脳梗塞は3.5倍に増えるのに対し、認知症の発生も2倍に増える
(11)白質病変のある方のHTの特徴として、non-dipperなどの早朝高血圧が70~80%見られる(通常のHTでは20~30%)
(12)病的なLeukoaraiosis(LA)は、MRIでは、FLAIR法で高信号となる
(13)それは低潅流で脳血管関門が破壊されgliosisの起きた状態と考えられる
(14)症状との関連では、myelinopathyの段階では無症状、axonopathyになると有症状
(15)治療は(1)まず予防。夜間高血圧の治療 (2)T2*で微小出血が認められれば、脳梗塞再発予防の抗血小板剤はシロスタゾール(プレタール)を選ぶ (3)DM、脂質異常の治療。ただし、スタチン投与が多すぎると脳出血が増えるので注意
(16)CAA関連脳症は、亜急性・けいれんで初発・左右非対称におこる・微小出血をともなう、などの特徴がある。CADASILのような遺伝性白質脳症では、側頭葉極を含む点が、違う

2.脳アミロイドアンギオパチー(CAA)と認知症・認知障害
(1)CAAとは、脳血管のアミロイド沈着
(2)Aβ型が多い。脳ではAβ42が多いが、血管では40が多い
(3)遺伝性と孤発性がある
(4)孤発性は加齢とともに増える
(5)ADで高率にみられ、後頭葉優位。70歳で50%に見られた
(6)脳出血、皮質小梗塞を起こすが、特に脳葉出血が特徴
(7)CAAはADの80%以上で見られる。
(8)剖検例では、CAAありで74%に認知症がみられ、型はAD、血管性(VaD)、混合型。
(9)高感度MRIでは、ADの17~32%に微小出血があった
(10)CAA関連脳葉出血は、55歳以上の女性に多い。ApoE(ε4)、HT、抗血小板剤、外傷が危険因子。
(11)CAAは、ADとも脳卒中とも並行し増える
(12)CAAはADがなくても認知脳低下を起こす

3.レビー小体型認知症(DLB)の前駆・初発症状
(1)パーキンソン病にともなう認知症(PDD)と異なり、認知症が運動症状に先行
(2)認知障害にさらに先行するものとして精神症状がある。うつ、アパシー、幻覚妄想。
(3)初老期以降の難治性うつ病は、DLBになることがあり、特に(1)自律神経障害を伴うとき、(2)精神病様症状+メランコリック、(3)3環系抗うつ剤に過敏性があり、錯乱を呈する例、では高率にDLBに移行する。
(4)幻視を起こしやすい疾患とは(1)カタプレキシー・ナルコレプシー (2)DLB(60%)
(3)PDD(35%)(4)統合失調症、であり、とてもDLBでは高率
(5)DLBの幻視の特徴。(1)きっかけはない (2)数~数十分 (3)覚醒が低い時に (4)戸外を見るとでやすい
(5)DLBでは、視覚認知のすべてが侵される

B.ランチョンセミナー3 前頭側頭葉変性症(FTLD)の症候と治療

(1)FTLDは前頭側頭葉型認知症(FTD)、進行性失語(PA)、意味性認知症(SD)に分類される。FTDでは被影響性亢進などの行動障害、PAでは失語、SDでは意味記憶障害が特徴。
(2)SDは発症から3年を経過すると、FTD類似の常同行動、食行動異常が出現する
(3)FTD、SDではしたがって介護負担が大きい
(4)5年以上すると、ADLが落ちて、介護負担は減る
(5)早目にいい習慣をつけておく(ルーチン化療法)ことが、将来の介護負担を減らす。たとえば、お風呂に入る習慣をつけておくなど
(6)症例 FTD 69才女性。長谷川R17点、時刻表的生活。
(7)症例 FTD 72才女性。考え無精「わかりません」と即答、保続、被影響性。
(8)症例 SD えんぴつ「えんぴつって言うんですか」、えんぴつはどれかわかるか?×、使い方はわかる、「わかりません」と即答しADに見られるとりつくろいがない
(9)SDでは、病識がないといわれるが、初期はむしろ家族よりもあることも

C.シンポジウム4 認知症疾患の画像・病理対応

1. 臨床病理の立場から
現在高齢者ブレインバンクプロジェクトで、生前の症候、画像と病理所見の対応を進めている

2. 認知症の画像病理対応
(1)545例の連続剖検のうち、変性性認知症、CDR0.5の軽症例は、AD、嗜銀顆粒性認知症(DG)、神経原線維変化型認知症がそれぞれ約20%、LBDが10%、進行性核上性麻痺(PSP)3%、ADとの合併など複合が25%
(2)高齢者で高率にみられるDGは、生前ADと診断されていることが多い
(3)高齢であればあるほど複合病理となり、1対1対応が困難
(4)異常タウ蛋白の蓄積を認めるが、ベータ蛋白の蓄積はほとんどない症例は、DG>神経原線維変化型認知症、である
あと、動物モデル、PETの話は省略。

夜は、淡路町のホテルに戻り、H薬剤師と、かんだやぶそばを食しました。体調を崩し、同行できなかった事務長のことが心配でしたが、食欲は衰えず、更に、洋食屋で夕食のはしごをしてしまいました。

2日目

D.モーニングセミナー 認知症患者における転倒・骨折

(1)認知症があると、転倒しやすく、骨折しやすい
(2)骨折すると、認知症が進む悪循環
(3)骨折の危険因子は、(1)骨折の既往 (2)年齢 (3)女性 (4)喫煙 (5)飲酒 (6)関節リウマチ (7)ステロイド剤の使用 (8)やせ (9)家族歴 (10)糖尿病 (11)降圧剤の使用 (12)睡眠薬の使用 (13)認知症、である。

E.教育講演II

1.MCIの概念と治療介入のエビデンス
(1)MCIとは、正常でもないが、認知症でもないグレイゾーン。
(2)ADに至るには、(1)アミロイドβの蓄積(CSF、PET) (2)シナプス機能不全(FDG-PET) (3)タウ蛋白(CSF) (4)脳構造の変化(MRI) (5)認知能の低下(臨床)という進展がある
(3)MCIよりさらに前に、PETや脊髄液バイオマーカーがADパターンを示しだした段階を、Preclinical ADとよぶことが提唱され、研究用に用いられようとしている

2.AD治療薬開発の最前線
(1)今年、ドネペジル(アリセプト)に加え、ガランタミン(レミニール)、リバスチグミン(リバスタッチ)、メマンチン(メマリー)が承認された。
(2)アミロイド老人斑からその下流のタウの異常リン酸化と蓄積による神経原線維変化、さらに神経細胞障害にいたるカスケードを阻止する治療が必要だ

F.シンポジウム7 ホルモンと認知症

5.血糖制御ホルモンと認知症
(1)DMでは、VaD、ADともに発症リスクが2~3倍高率である
(2)DMの認知機能障害の機序は、ADとは異なるものがあり、DMの新たな合併症としての認知障害の可能性がある

G.ランチョンセミナー6 認知症診療に生かす画像検査

(1)AD診断における画像検査意義は (1)AD診断の示唆 (2)除外診断、である
(2)ADで最初に侵されるのは側頭葉内側部(海馬)であるが、PET・SPECTで最初に血流・代謝の低下が検出される場所は、後部帯状回や楔前部である。空間分解能に原因があるかもしれない
(3)後部帯状回低下群は、比較的若い方に多かった
(4)CDR(重症度)0.5から2に進行するのに対応し、CSF(Tau/Aβ42↑)、アミロイドイメージ、FDG低下、MRIでの萎縮と捉えることができる。
(5)2011年4月、米国で新たなAD診断基準が発表された。(1)ADによる認知症 (2)ADによるMCI (3)発症前AD(研究用)に分類された
(6)一般的に用いるには、検査の標準化が必要
(7)DLBの診断で、わが国ではMIBG心筋シンチが頻用されるが、これも検査の標準化が必要。(脳血管のCO2応答の方が、感度・特異度とも高いという報告もある)

H.招請講演 Can we detect AD a decade before dementia?: New guideline for preclinical AD

ADの病理学的プロセスは、発症の10年位前から始まっていると考えられている。最近の研究で、アミロイド沈着のある「正常な」老人の3分の1に、ごくわずかな記憶障害にともない、機能的・構造的変化の証拠が見出されている。これに基づいて、National Institute on Aging-Alzheimer's Association workgroupでpreclinical ADという新たな枠組みを提唱している。

I.特別講演 老いと自然

日本人の、独自の晩年のあり方を考えたい

J.イブニングセミナー3 症候学と画像診断による認知症の鑑別診断について~AD、DLB、FTLD~

(1)ADの特徴は記銘力障害。大切なものをしまう習性があり、どこにしまったかわからなくなる。出てこないと家族を犯人扱いする。トラブルを避けるため、外では愛想よくふるまう。わからないと介護者を振り向いて助けをこう。
(2)MRIでは海馬萎縮、血流シンチでは、後部帯状回から楔前部、側頭―頭頂連合野が低下。
(3)DLBは意欲低下と幻視が特徴。パーキンソン症状が先行することもある。覚醒レベルの変動があり、昼から寝ていることもある
(4)MRIは特徴が乏しく、血流シンチでは、後頭葉に低下を認める
(5)FTLDは、記銘力や見当識は保たれ、人格変化や情緒障害が前景に立つ。障害部位によって、すべてに無関心になる例、反社会的行為が目立ち、興奮しやすい例、言葉の理解が悪くなる例、非流暢性の失語症状が進行する例など様々
(6)MRIや血流シンチでは、前頭側頭の低下
(7)しかし、症例はすべてが典型的とは限らない。しかも、ADはアミロイドβ、DLBはレビー小体という蓄積物質による病名。それに対しFTLDは解剖学的障害部位による病名。
(8)AD-DLBもあれば、側頭葉中心にAβが蓄積し、FTLD様のADもある。

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白鳥内科医院

〒430-0814 静岡県浜松市南区恩地町192
電話:053-427-0007  FAX:053-427-0005


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内科、神経内科、小児科、リハビリテーション科


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