お知らせ

日本神経学会学術大会 2014年速報(2日目)

神経疾患と抑うつ状態

抑うつ気分

感情は持続性の気分=ムードと短期反応的な情動=エモーションに分類する
うつ病はムードの問題

うつとは?

抑うつ気分  興味や喜びの喪失  食欲の変化  睡眠障害
精神運動の制止または焦燥 考えられない あせる
易疲労性・気力の低下
強い罪責感 自分が悪いと思うのはうつだけ 統合失調や認知症との違い
集中力の低下
自殺念慮
身体症状
日内変動 午前悪い

うつ病とは?

気分障害
まず単極性か双極性かで分ける 双極性は全く違うアプローチ
単極では大うつ病と気分変調症に分類 これは程度の差

抑うつ状態は、一時的であれば適応障害(心因反応)
器質性・症状性気分障害 これは外因性

ICD-10におけるうつ病エピソード
1.抑うつ気分
2.興味と喜びの低下
3.活力の減退

DSMⅣにおける大うつ病性障害 
必須症状は、抑うつと興味の喪失

神経疾患とうつ

1.脳卒中後うつ病
半数以上に出る 頻度が多い
既往歴があるとさらになりやすい

特に意欲障害が強く、認知機能障害をともなう
そして治療抵抗性だ
内因性のうつ病と違い、罪悪感や自殺を考えることは少なく、一日のうちでの変動は殆どない

脳血管性認知症の主要症状として、意欲低下がある

抑うつとアパシーの鑑別
アパシーでは、自発性・発動性の欠如 無関心・無頓着 FTLDに多い
よくうつ 絶望・苦痛 LBDに多い
易疲労感主体は、アパシー

・脳内アミンとその機能
 セロトニン 衝動性
 ノルアド 意欲
 ドーパミン 喜び・自発性

基底核
特に前頭前野回路 ド―パ―セロトニン系との関連

脳卒中後のうつ
アセチルコリン―アミン系の障害 モノアミン系の障害 という仮説

損傷部位との関連説はあるが、心理社会的危険因子の方が強く関連 年齢・性・機能障害・ 既往歴

脳卒中後うつは、生命予後に悪影響
10年後の生存率が有意に低い
死亡率上昇

だから治療が必要
三環型抗うつ剤 SSRI SNRI
運度やレジャーも有効 リハを

抗うつ薬
三環型は、心毒性があるので、SSRIを主にするようになってきた

1ヵ月で効果がなければ他を試す
精神療法を加える
コンプライアンスの確認

抗うつ薬でADLと認知機能も改善する
だからばかにはできないよ

予防的にも効果あるかも

2020年 脳卒中後うつ病は100万人

2.ADとうつ病
うつ病はADの危険因子?
病初期20-40%併存

老年期うつ病はADとVaDいずれもの危険因子

若年期のうつ病は、さらにADの危険因子 4倍 老年期で2倍なりやすい

なぜうつからADになるの?
視床下部―下垂体―副腎皮質系 ストレスで出た過剰なコーチゾルが海馬の萎縮につながる?

3.PD LBDとうつ
佐野勇 はじめて人間の脳でドーパミンを計測した クロルプロマジンの日本に導入した人
錐体外路系にドーパミンが多い
パーキンソン病脳でドーパミン低下
ドーパミンの静注で改善した

PDは運動症状より前に嗅覚脱失 うつ 便秘 RBD 睡眠過多 RLD 不安・疼痛 無気力など出現することが知られている

例 60M
うつ 寝ながら大声であばれる
父親が寝言多かった
15年前からうつ
3年前から大声で寝言
睡眠中ふすまをけって穴をあけた
長谷川R 24点
FAB 15点
REM期で筋電図 典型RBD
DATスキャン 心筋シンチでも異常

ドーパミン補充でうつに効くか?
効果あり
PDのうつは、ドーパミンが主体
エビデンスはいまいちだが
三環系ではノリトレンだけ証拠あり しかしQT延長の問題が

ARJP 若年性P
AR常染色体劣性で若年性ジストニア ドーパ療法に反応 
ウェアリングオフ
ジスキネジア
抑鬱自殺企図
薬物依存 勝手に薬増やす
舞踏用の不随意運動

妹は精神症状から発症 18歳
アルコール依存
25歳で歩行障害
PARK2 exon4欠失

抑鬱では語りきれない精神症状の多彩さ
未熟なパーソナリティ 衝動性
ドーパ依存 DDS

MJF 赤裸々な告白をした
DDSドーパミン調節異常症候群
PDの補充療法に関連
危険因子 若年・男性・新規性追求性格・アゴニスト服用・ドーパミン補充療法に反応
治療は早期に薬の調節を

日本でも多い
若い 男性
ARJPとの関連は?

例 54才M
37歳左下肢違和感 モーターフラクチュエーションでDBS
しかし勝手にオンにしてしまう
抗パ剤も増やしてしまう
競馬で1500万円借金
多幸的

ARJP23例/24例で多彩な精神症状という報告有

パーキン遺伝子変異があると うつ・不安・自殺企図が多い
認知機能はかわらない

なぜ?
運動症状前から見られる
どんどんドーパミン増やしてしまう

DDSはARJPで本当に多い?

まとめ

1.脳卒中後うつ病 一番多いよ 生命にも関連
2.ADとうつ 今一番ホット 危険因子でもあるよ
3.PD LBDの精神症状 非運動症状が先行することがしばしばある RBDは自覚がないので、パートナーに問診必要
若年性PDは精神科にかからないと無理な例が多い

座長から

PDのうつは、ドーパが低下するから?
そうだろう
だからドーパ補充でいいだろう
すでに補充してることが多いのでは?ではふやす??
若い方では気を付けないとDDSとの関連があるので注意

3環型はいいというが?もう古い?
今でも使える。しかしQT延長は注意 EKGは必ずチェックを
RBDの治療は?
クロナゼパム効果あったりなかったり

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白鳥内科医院

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