お知らせ

11月15日学会前日The 40th 記念セミナー

I.ランチョンセミナー「片頭痛の痛みとはなにか―最新の話題とこれから」

(1)ストレス、女性ホルモン、天気、空腹、臭い(香水)などが片頭痛のきっかけになる。
特に日本人は、臭い過敏が多いようだ。
日本人では63%、海外では25~40%。

(2)それに基づいて、片頭痛スクリーナーが作成された。すぐれものだ。

(3)前兆をともなう片頭痛の発症、一峰性。
片頭痛を伴わない前兆の発症、二峰性。

(4)三叉神経血管説。
血管説の復権。なぜなら、側頭動脈押さえると改善するから。

(5)イミグランのジェネリクスが出る。
マイランもその中の一つ。

(6)痛みの分類
・急性/慢性
・侵害受容性疼痛片頭痛
・神経障害性疼痛帯状疱疹、アロディニア→中枢性感作→肩も痛む
・心因性
dopa下行系の抑制・障害が片頭痛ではある
なぜなら16%にむずむず脚症候群がともなうから。

(7)新規薬
cGRP受容体拮抗薬。 肝機能障害で日本での治験は進んでいない
ボツリヌス毒素。 慢性片頭痛に効果あり
NSAID(ナイキサン)+トリプタン 特に生理の時
Zeltrix
LEVADEX
5HT-1F agonist

(8)慢性連日性頭痛の多くは薬物乱用頭痛
片頭痛とうつは互いのリスクファクター。これにはうつ病の部分症状として頭痛が現れる場合や、頭痛によって二次的にうつが生じる場合、同一患者にうつと頭痛が共存する場合などが考えられる。特に片頭痛は3つ目の共存症としての報告が多い。これらが共存する理由として、痛覚伝達とその受容経路が感作されることにより過去の痛覚刺激経験記憶が変容して最終的にうつに至るLimbically augmented pain syndrome(LAPS)やドーパミンD2受容体遺伝子型との関連などが考えられている。また片頭痛から薬物乱用頭痛に進行するメカニズムとして、セロトニンやドーパミンの関連も報告されている。薬物乱用頭痛患者ではうつ病を有している患者割合が58.2%と片頭痛患者の2.5%より高いことも示されている。

(9)難治性片頭痛Refractory migrane
片頭痛発作時には三叉神経血管系の神経原性炎症と中枢の感作現象がおこっている。片頭痛の慢性化とは,急性発作時におこっている炎症と感作現象が慢性化したものであると考えられている。神経原性炎症は三叉神経血管系の過敏性をもたらす。神経細胞が反復性に活性化し,三叉神経尾側核の侵害受容神経に生物学的・機能的な変化を惹起し,神経の発射域値が低下し,受容野が拡大すると考えられている。神経感作現象は臨床的には皮膚アロディニアの出現と相関しており、CMやMOHで出現頻度が高い。慢性化のリスクファクター。
前頭葉、帯状回が活性化されている。
損害回避の高いこととの関連。

* 参考「損害回避」。損害回避が高い人は、「石橋をたたいて渡る」と言う言葉に代表される慎重で堅実ですが、緊張しやすく、先のことを思いわずらう傾向があり、ものの見方が悲観的で、うつ病に非常になりやすいタイプ。逆に、損害回避が低い人は、楽観的で、警戒心がなさ過ぎて失敗することもありますが、非常にうつ病になりにくいタイプです。もっと言うと、あまりにも楽観的過ぎて、周りの人が気をもみ、周りの人にストレスを与える可能性があります。
このうつ病になりやすいタイプの人が、うつ病にならないように、性格を変えようとすることは、逆に、ストレスになります。自分の性格を理解し肯定したうえで、ストレスから逃げる方法を見つけるのが現実的。

フロアーから。

  • 前兆だけで片頭痛がないものは、どう治療しているか?
    はっきりしない。脳卒中のリスクがあるのかは検討中。間中D、ロメリジン一時的に使用している。

II.トリプタン治療の意義頭痛外来の役割

  • まずはクモ膜下出血の診断。CTで、(1)シルビウス裂の左右差のみ、(2)中隔にそってうっすら出血しているだけのタイプは見逃しやすい。
  • 次はクモ膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎を診断。
  • 問診から、頭痛を一次、二次に。
    90%以上は一次。
    二次性は、頭蓋外疾患を含む、たとえば緑内障、副鼻腔炎、咬合不全(顎関節症)
  • 2010年度の頭痛新患者片頭痛70%、緊張型40%(重複あり)、薬物乱用頭痛10%、群発頭痛3%だった。
  • スマトリプタン 血管障害がある時は禁忌。
    使用後の感想、「良かった」以上が90%。
  • 薬物乱用頭痛、市販薬によるものは50%でしかなかった。あとは医療機関の薬。

III.頭痛の達人養成塾

●事例検討

片頭痛と妊娠、出産
32F。
妊娠の可能性あれば、非薬物療法、胎児に影響少ない薬物を。
なければ、デパケン、万一に備えるなら、葉酸を服用してもらう。
ある日突然妊娠、ということもあるから。4~8週が一番危険な時期。
・妊娠中は頭痛の頻度が減ることおおい。
屯用、アセトアミノフェン、イブプロフェン+トリプタン
予防薬、βブロッカー、少量のトリプタン(日本では使わないことおおい)

薬物乱用頭痛
29F 1年前からOTC毎日服用。SRQ-D( http://www.japc.or.jp/utsu/SRQtable.html
20点。 トリプタノール、ミグシス・テラナスで頭痛のない日が増えた。
薬物乱用頭痛の90%にうつ病が伴うというデータも。

持続性片側性頭痛
40F、事務職。
もともと片頭痛と緊張型頭痛。
8月から、左側頭部から頭頂部にかけぴりぴりする痛み。涙も出る。受診。
入院して調べたところ、時間帯に関係なく、痛みの程度は変化。涙も並行。
カフェルゴットと100%O2無効。インドメサシン有効。
診断は持続性片側性頭痛。
解説:持続性で、必ず片側性に起こり、インドメタシンが有効な頭痛
診断基準:
A. B-Dを満たす頭痛が3ヵ月を超えて続く
B. 次の特徴をすべて満たす
1. 痛みは片側性で、反対側に移動しない
2. 毎日連続してみられ、痛みが消失する時期がない
3. 程度は中等度であるが、増悪して重度の痛みとなることもある
C. 頭痛増悪時、頭痛側に次の自律神経所見のうち少なくとも1項目がみられる
1. 結膜充血 または 流涙 (あるいはその両方)
2. 鼻閉 または 鼻漏 (あるいはその両方)
3. 眼瞼下垂 または 縮瞳 (あるいはその両方)
D. 治療量のインドメタシンで完全寛解する
E. その他の疾患によらない
Sjaastad の命名
頭痛は厳密に片側性
持続性
中等度以上の痛み
毎日持続
indometacin に劇的に反応
TACとの関連。

フロアとの討論
薬物乱用頭痛の30%は改善しない。トリプタノールは(1)睡眠障害の改善(2)下降抑制系の補強、という機序。最高で60mgまで使用。抗うつ剤としての利用と量が違う。吸収の悪い人もいて、20mgくらいは試す必要がある。(当院では5mgから開始している)

●間中先生の講演

  • なんにせよ問診を上手にすること。患者さんはうまく話せない人が多い。病人は言葉を失う。
  • 慢性頭痛とは、素因性・発作性・過敏性にもとづくものだ。
    (参考「ポケモン騒動」の中心にあるできごとは、「光過敏性素因児におこった発作」ということでしょう。となると、てんかんに似た点があるんだな、と思う)
  • 頭痛は仮面ダンサーのようなもの。
    複数の頭痛を持つ人が多いし、大小さまざま、さまざまな症状、ライフサイクルでの変化。
  • 起こるスピードの違いも大切
  • 片頭痛と緊張型実は鑑別困難なことも
    しかし、過敏性、頭を振ると痛いのは、片頭痛。
  • 片頭痛なぜずきずきしないのか?
    細い血管は、非拍動性、太いのは拍動性、と言われていたが。静脈も拍動しないし。
  • 拍動痛、も実は脈拍と一致するわけではない。
  • 片頭痛は、天気に例えれば雨、小雨もあるけど。緊張型は曇り。
  • Cady先生は、頭痛は、どこに行きつくかわからない、と言っている。
    少しなら緊張型頭痛、もう少し行くと軽い片頭痛、そして片頭痛。
  • つまりミステリーバスなのだ。
    片頭痛行ウサギ型
    緊張型行
    緊張型様から片頭痛行カメ型
  • 肩こりと首こりを区別しよう
    頸部痛 C2~3
    肩痛 C4
  • 頸部痛は、片頭痛の方が強いというデータ有。緊張型ではかえって弱い。
    三叉神経と頸部神経節は、三叉神経脊髄路の尾側亜核で収束するから。
    http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/basic-trigem.html#caudalis
  • 頭痛の問診
    「あなたは頭痛もちだと思っていますか?」
    「来院理由は?」
    (当院では、後者は必ず聞くけど、前者は、聞かなくても、そう思っていない人もいます)
  • 光・音過敏をひろい出す
    明るい部屋・暗い部屋の絵を見せるといい。
    たしかにこれは有効かも。
    初診でわたすチェッククリストではほとんど拾えないので、当院では「明るいところと暗いところとどちらがいい?」と聞きます。
    同様に、行動での過敏性を拾うには、「走り回るのと寝ているのではどちらがいいですか?」と。そうでないと、「寝こんだりしないで仕事しますから」とか、関係ないことを言い出す方が多いです。
    同様に音過敏は、「ロックコンサートや子供の叫び声と、静かなところでは?」という質問。
    ここまで言わないと正解が出ないのは、私見だが、頭痛患者さんは思い込みの強い方が多いから(認知のゆがみがある)と考えています。間中先生はそれを「病人は言葉を失う」と表現しているのだろう)
  • 前兆と光過敏の違い
    前兆アウラは、原則的に拡延する。広がる。
    絵に描いてもらうのも有効。
    (持続時間の確認も大切かなと思う)
  • 赤信号頭痛の除外
    SNOOP
  • 問診のこつ
    アイコンタクト、声掛け、大切
    「どこが痛い?」指さしてもらう。「頭痛もちでしたか?」
    「時々ですか?ずっとですか?」
    「いつごろから?」
    急性の時は「思い当たることは?」
    (これらは自然にやってるなあ)
  • アイコンタクト目の力起承転結
  • VASヴィジュアル・スケールを使う
  • 慢性連日性頭痛
    「月の半分以上服薬していませんか?」
    MOH・ストレス・うつ・身体表現性障害
  • 小児の頭痛非典型的
    朝から、両側、非拍動性、前頭部
    鑑別(1)もやもや(過呼吸で失神) (2)起立性調節障害 (3)低髄液圧症候群
  • 最後に
    病歴と診察が大切!
    参考 Tierney先生は、鑑別診断を説明するときに、いつも以下のカテゴリーを使います。
    Vascular(血管性疾患)、Infection(感染症)、Neoplastic(腫瘍性疾患)、Collagen(自己免疫疾患)、Toxic/Metabolic(中毒/代謝性疾患)、Trauma/Degenerative(外傷/変性疾患)、Congenital(先天性疾患)、Iatrogenic(医原性疾患)、Idiopathic(特発性疾患)。

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白鳥内科医院

〒430-0814 静岡県浜松市南区恩地町192
電話:053-427-0007  FAX:053-427-0005


主な診療内容

物忘れ(認知症)外来
頭痛外来(6歳以上の小児を含みます)
パーキンソン病とその類縁疾患


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月曜日・火曜日・金曜日
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学会、長期・短期研修など、水・木以外の休診日は、診療日時案内をご覧ください。

現在、予約は再診患者さんで若干込み合っている状態です。
恐れ入りますが、初めての方は、予約無しで、お早目の受診をお願いいたします。
お越しになる際は、必ず、時間に余裕をもっていらしてください。
認知症の診療には、多くの時間と手間がかかるからです。

また、再診で、予約の日に来られなかった方も、予約無しでお願いします。
混乱を避けるため、予約日時の取り直しは一切ご遠慮いただいております。

2017年から、1時間当たりの予約患者さんの数を減らし、以前に比べると、はるかに待ち時間は少なくなりました。


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水曜・木曜
(毎週日曜・祝日診療)


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