●SNOOP:診断の際の臨床的手掛り
頭痛を主訴として総合診療内科に受診した患者のうち神経所見のない264人にQ1 「これまでで最悪の頭痛か」、Q2 「増悪しているか」、Q3 「突然発症か」の3つの質問をしたところ、もっとも陽性的中率が高かったのはQ2 「増悪」で、つぎがQ3 「突発」であった。3つの質問に非該当の症例は危険な頭痛はなかったというデータも参考に 。
一人のナースが二人の患者さん74才と84才、をOp室に連れて行ったのが、最初のつまずき。
Op室のナースは、何回も名前で呼びかけているが、二人とも「はい」と答えている。「私ではない」とは言っていない。しかし、一番責任があるとされた。
スイスチーズモデル。
Acute, critical, curable なときに、医療訴訟になりやすい。
その代表例がクモ膜下出血SAH。本当は、治療可能とは言い切れないが。
クモ膜下出血は、「突然の激しい頭痛」と思い込んでいると、見逃す。
例)土曜の午後2時。軽い頭痛で受診。家族が「SAHではないか?」と質問したが、CTを撮らなかった。翌日SAH。
間中先生の経験)「まんじゅう食べていたら頭痛がした」「??」onsetがはっきりしている頭痛だった。SAH。
夜中の2時。「良くなったので帰ります」しかしCTをとったところSAH。
1W前からの頭痛で夜中に受診。かぜ、と帰したら、翌日SAH。
SAHの6~7%は脳外科でも見逃す。
日本でのデータ。SAHを見逃した17/33例は軽い頭痛だった。
25F。3日たっても治らない頭痛。CTでは正常。その10日後SAH。問診票は片頭痛様。月2回、徐々に、ズキズキ。
参考)SAHのCT。4日たつと検出できない。貧血Hb10以下でも検出率下がる。アーティファクトあるときも当てにできない。
33F。紹介受診。問診票。月2回、おやじ臭で頭痛が起こる、背中が痛い→低髄液圧症候群かと思い、MRIとったところ、FLAIRでSAH陽性。よく話を聞いたら、ボーリングのボールを頭に落とされた後の頭痛。教訓。他院での検査結果は信じない。脳の疾患は訴えが奇妙。メンタルと間違えやすい。片頭痛は、肩こりから頭痛に。このケースは、頭痛から背部痛に。
74F。非典型SAH。主訴は記銘力障害と脱力。大声で歌った瞬間、耳が急に遠くなった。頭痛のないSAHもある。20%程度。しかし、頭痛以外に急に起こる症状を伴うことも。参考)心筋梗塞でも30%は胸痛がない。
一過性に意識を失い転倒。頭痛は訴えてなかったSAH。しかし、カルテには「頭痛なし」と記載すべき。
Walk-in SAHに注意しよう!
医師と患者では「突然」のとらえ方が違う。
「何をしているときに頭痛がおこりましたか?」
定義では1分以内にMax。しかし、患者さんには5分以内に最大になったか?と聞くほうが現実的。
TCHのわずか11%がSAH。73%が原因不明だったが、その半分に血管攣縮があり、現在の目で見ればRCVS。20%は解離性動脈瘤。未破裂嚢状動脈瘤やCVT、脳出血。性行為関連頭痛(内容はさまざま)、副鼻腔炎、飛行機頭痛も含まれる。
平均年齢は42.5歳で81%が女性。雷鳴様頭痛は85%の症例で認められ、多くの症例で咳などが契機となり雷鳴様頭痛が再発する。頻度や強さは最初の発作が最も強く、次第に弱くなっていく。43%の症例で神経学的異常所見を合併し、片頭痛の既往は40%、脳血管攣縮を起こしうる薬剤(スマトリプタン、SSRI、覚せい剤大麻など)の使用は42%、9%が産褥期の患者。後頭葉に白質病変を伴うとPRES可逆性後頭葉白質脳症。
興味深いのは、全ての症例で脳血管れん縮が認められているにもかかわらず、55%の症例では最初のCTもしくはMRIでは梗塞や出血、浮腫などの脳実質の病変が認められなかった。一方、最終的には81%の症例で脳実質病変(脳梗塞39%、クモ膜下出血34%、脳内出血20%、脳浮腫38%)を認めている。このことはRCVSの症例に対して、繰り返し画像検査を行うことの重要性を示している。
後頭部の片側頭痛の時は必ず考える。
オルガスム時頭痛
A. 突発性で重度(「爆発性」)の頭痛で、Bをみたす
B. オルガスム時に起こる
C. その他の疾患によらない
(注1)オルガスム時頭痛の初発時には、くも膜下出血、動脈解離などを必ず否定すること。
4.4「性行為に伴う一次性頭痛」、4.3「一次性労作性頭痛」と片頭痛との関連性が、約50%の症例で報告されている。
性行為に伴う一次性頭痛の持続時間に関する確かなデータはないが、通常1分~3時間持続する
■解説
手塚博幸:scope35(6):14-15,1996より引用
年齢30~60歳、男:女=3~4:1
収縮期血圧は25~120、拡張期血圧は25~48、脈拍は20~87上昇
褐色細胞腫pheochromocytomaの頭重と類似する。
ということはアドレナリンの放出と関係していることを示唆する。
一度始まると繰り返しやすい
薬剤
ベーター・ブロッカー
カルシウム・ブロッカー
性交前にエルゴタミン頓用
初発年齢(歳)の平均年齢は、39.2(±11.1)年。20-24歳と35-44のピークがある。男性優位、両側性および後頭部頭痛。他の 一次性頭痛と高い同時罹患率をもつ。
■脳静脈洞血栓症の疫学と危険因子
■脳静脈洞血栓症の臨床徴候
主な症状は、寝入りばなにドン!とかドカーン!、バーン!、ビクッ!や、パン!といった破裂・爆発・衝撃を感じ、目覚めてしまう状態。睡眠中でも、夢心地から更に深い睡眠に入るときにバーン!と全身が衝撃音に包まれ起こされるというのもあり。これは実は頭痛ではないが。
髄液漏出はあったり、なかったり。
62Fで、MRIとったら、下垂体が腫れていて脳幹が平らなので、低髄液圧かと思ったら、よく見たらSAHクモ膜下出血だった経験がある。
逆説的起立性頭痛 (静臥で悪化)の患者で、腰椎穿刺したら、翌日両側に硬膜下血腫ができたこともある。
*参考I-19特発性低髄液圧性頭痛はどのように診断し、治療するか
1. 診断
特発性低髄液圧性頭痛は国際頭痛分類第 2 版(ICHD-II)に準拠して診断する。
2. 治療
治療はまず安静臥床・輸液などの保存的療法を 行う . 改善が認められない場合に画像診断で髄液漏出部位を 確認できれば 、 硬膜外血液パッチ( epidural blood patch : EBP) などの侵襲的な治療 の適応を考える 。
推奨のグレード A
背景・目的
国際頭痛分類第2版(ICHD- II)によると、低髄液圧による頭痛は、 7 .「非血管性頭蓋内疾患による頭痛」の 7.2 「低髄液圧による頭痛」にコード化され、さらに下記のサブフォームに細分化される 1) 。
7.2.1 硬膜穿刺後頭痛
7.2.2 髄液瘻性頭痛
7.2.3 特発性低髄液圧性頭痛
特発性低髄液圧性頭痛の本態は脳脊髄液量の減少による。脳脊髄液量減少は頭痛のみならず、多彩な症状を出現させる ( 低髄液圧症候群 ) 。髄液圧は Monro-Kellie doctrine により代償されて正常圧となりうる 。そこで特発性低髄液圧性頭痛に対して「脳脊髄液減少症」という病態名も提唱されている。
特発性低髄液圧性頭痛は「特発性」という名称にもかかわらず、最近は神経根の通過する dural sleeve からの漏出(dural tear)や髄膜憩室からの漏出が有力な原因とされている。その誘引としては、いきみ、咳込み、気圧の急激な低下、性行為、頭頸部外傷、しりもち、結合組織の異常による硬膜脆弱性などが挙げられている。低髄液圧の原因にはビタミン A 低下症など髄液の産生低下によるものも存在することに留意する。
頭部外傷後遺症、むち打ち症、自律神経失調症、不定愁訴、慢性疲労症候群、うつ病と診断されてきたもののなかに 「脳脊髄液減少症」が含まれている可能性が本邦で報告されている。
解説・エビデンス
A. 頭部全体 および・または 鈍い頭痛で、座位または立位をとると15 分以内に増悪し、以下のうち少なくとも1項目を満たし、かつDを満たす
B.少なくとも以下の1項目を満たす
C.硬膜穿刺その他髄液瘻の原因となる既往がない
D.硬膜外血液パッチ後、 72 時間以内に頭痛が消失する
ICHD-IIの基準には特発性低髄液圧性頭痛 (以後 SIH : spontaneous intracranial hypotension と略記) の症状、検査所見、治療が簡潔に定義されている。 SIH の診断・治療法については この診断基準から出発するのが適当である。診断基準 D項目として硬膜外血液パッチによる症状改善が診断条件に含まれているが、これは硬膜外血液パッチを施術しないと特発性低髄液圧性頭痛と診断できないということではなく、SIHに硬膜外血液パッチを施術した場合は「72 時間以内に頭痛が消失する」と いう意味で ある。
●頭痛について
起立性頭痛 orthostatic headacheが特徴であるが、それが顕著でないケース、まれに逆説的体位性頭痛のこともある。時に雷鳴頭痛として発症する症例もある。低髄液圧症候群以外の起立性頭痛の原因としてたとえば体位性頻拍症候群(POTS)が挙げられる。
●頭痛以外の症状
ICHD-IIでは項部硬直、耳鳴、聴力低下、光過敏、悪心のなどの症候を診断条件に挙げている。日本脳脊髄液減少症研究会は脳脊髄液減少症の症状として表1のような症状を挙げている。これらは発熱・下痢などの軽度の脱水状態で症状が悪化する。
表1. 脳脊髄液減少症の症状 (日本脳脊髄液減少症研究会)
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1)痛み:
* 頭痛,* 頸部痛, * 背部痛、腰痛、四肢痛
2)脳神経症状:
* 嗅覚障害, * 視力障害,* 複視、顔面違和感
* 聴力障害,耳鳴、眩暈,* 味覚障害、咽頭違和感
3)自律神経症状 :
* 微熱,* 動悸,胃腸障害(腹痛・便秘・下痢),手足冷感,* 発汗異常
4)高次大脳機能、精神症状:
*記憶力低下,思考力低下,* 集中力低下,* 睡眠障害、うつ状態
5)その他:
内分泌障害,全身倦怠感
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*を付した症状は多くの患者に共通して認められる症状を示す。
●髄液圧
SIHの診断には腰椎穿刺を行い、髄液圧の低下を証明することが重要ではあるが、腰椎穿刺自体がさらなる髄液漏出を招く可能性があるので、硬膜の増強などMRI所見陽性の患者では避けるべきである。SIHでも髄液圧はMonro-Kellieの法則により正常圧となる可能性もある(宮澤の報告では18%、Mokriの報告でも18%が該当)。ICHD-IIの診断基準ではMRI所見、脊髄・脳槽造影所見、髄液圧の少なくとも1項目を満たせば必ずしも低髄液圧でなくてもよいとされている。
●画像診断
脳脊髄液減少症の画像診断検査には脳脊髄液漏出を診断するRIcisternographyやCT/MRmyelographyによる直接所見と、脳脊髄液減少を示すMRI所見がある(表2)。通常のCTの診断的価値は乏しい。まれに低髄液圧症候群には両側性慢性硬膜下血腫を合併することもあり、その場合はCTも診断の補助になりうる。
MRIによる硬膜造影所見は低髄液圧症候群を疑う有力な根拠であるが、必ずしもこの像が捉えられるとは限らない。一方、悪性腫瘍の硬膜浸潤、肥厚性硬膜炎など多くの疾患で硬膜造影が認められる。
表2.脳脊髄液減少症の画像診断
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1)低髄液圧の所見(関接所見)
MRl (単純+ガドリニウム(Gd)造影、矢状断+冠状断)
a)脳偏位の所見
硬膜下腔拡大、小脳扁桃下垂、鞍上槽の消失、脳幹(橋)の扁平化
b)うっ血の所見
びまん性硬膜増強効果、脳表静脈の拡張、脳下垂体の腫大
2)脳脊髄液漏出の診断(直接所見)
RI cisternography,CT/MR myelography
a)脳脊髄液漏出像
b)RI 膀胱内早期集積像
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●Mokri によると髄液量減少症候群は表3の4タイプに分かれる。SIHはさまざまな病型があることに留意して診断する。
表3.髄液量減少症候群の4タイプ(Mokri,1999)
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I型(典型):
頭痛あり、MRI異常、低髄液圧
II型(正常圧型):
頭痛あり、MRI異常、髄液圧正常
III型(正常髄膜型):
頭痛あり、低髄液圧、硬膜造影なし
IV型(無頭痛型):
低髄液圧、MRI異常、頭痛なし
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SIHに対してMokriは表3に示すような治療法を挙げている 3)。
低髄液圧症候群の治療法(Mokri,2004)
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1.安静臥床
2.水分補給
3.カフェイン
4.テオフィリン
5.腹帯
6.コルチコステロイド
7.消炎鎮痛薬
8.硬膜外血液パッチ(EBP)
9.硬膜外生理的食塩水持続注入
10.デキストランの硬膜外注入
11.フィブリン糊硬膜外注入
12.液体髄注
13.漏出部位の修復術
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SIHの治療法は保存的治療と侵襲的治療に分かれる。SIHはときには自然治癒することもあり、その補助手段として安静臥床と輸液(1000~1500mL/日)などの保存的治療は有効である。約2週間の治療が望ましい。
侵襲的治療としては硬膜外血液パッチ(epidural blood patch:EBP)がある。
*参考
小児起立性調節障害診断・治療(小児心身医学会からの引用)
人は起立すると、重力によって血液が下半身に貯留し、その結果、血圧が低下します。健康な人では、これを防ぐために自律神経系の一つである交感神経が興奮し、下半身の血管を収縮させ血圧を維持します。また、副交感神経活動が低下し心臓の拍動が増加し心拍出量を上げ、血圧を維持するように働きます。ところが、起立性調節障害ではこの代償機構が破綻して血圧は低下し、脳血流や全身への血行が維持されなくなります。そのため、立ちくらみやふらつきが起こってきます。血液による酸素や栄養の供給が悪いので、すぐに疲れたり、また疲労からの回復が遅れます。さらに脳血流が悪いために、思考力は低下し、集中力もなくなってきます。心臓は代償性頻脈を起こすため、起立状態や少しの運動で息切れ、動悸を起こすようになり、とても身体が辛く感じます。身体を横にすると全身への血流が回復するため、このような症状が軽減し身体が楽になります。起立性調節障害の子どもは、ごろごろと横になることが多いのはこのためです。
ところで自律神経の活動性には24時間周期の日内リズム(概日リズム)があります。たとえば、人は早朝になると交感神経活動が増えて身体を活性化し、夜には副交感神経活動が高まり身体をクーリングさせ、休養させます。ところが、起立性調節障害では、午前中に交感神経が活性化せず、506時間以上も後ろにずれ込んできます。その結果、朝に身体が休止しているような状態になります。その一方で、深夜になっても交感神経の活動性が下がってこないので、夜は身体が元気になり、寝つきが悪くなります。一見、生活リズムが乱れているように見えるのですが、その根本原因は自律神経系の日内リズムが後方にずれこんでいることにあります。起立性調節障害の子ども達に対応する際に、このような特徴は十分理解してあげてください。
頻度の高い疾患です。好発年齢は10~16歳、有病率は、小学生の約5%、中学生の約10%とされ、男:女=1:1.5~2です。厚生科学研究の全国調査によると、一般小児科外来を受診した10015歳3316名のうち、281名(8.5%)が心身症、神経症等と診断され、その中で起立性調節障害は199名と約7割を占め最も多くみられました。
起立性調節障害の検査には、以前からシェロング起立試験が行われていました。この試験では、臥位10分後と、その後に10分間起立させて血圧と脈拍を測定します。従来の起立性調節障害診断基準では、収縮期血圧が起立時に21mmHg以上低下した場合、異常と判定します。しかしシェロング試験での診断率が低かったのです。最近、さまざまなハイテク装置が開発され、起立性調節障害を正確に診断する方法が開発されました。非観血的連続血圧測定装置(フィノメータやポータプレス)というハイテク血圧計は、血圧と脈拍が一心拍毎に連続的に測定します。この血圧測定装置を使って、起立直後性低血圧(起立直後に強い血圧低下がある)、体位性頻脈症候群(起立後頻脈が続く)などのタイプが見つかってきました。最近は、このような装置がなくても小児科の外来でもできる新しい起立血圧試験が開発されています。
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体位性頻脈症候群
英語でpostural tachycardia syndrome、略してPOTS、ポッツと言います。
ポッツは起立時の血圧低下はなく、起立時頻脈とふらつき、倦怠感、頭痛などの症状があります。
起立時の心拍数が115以上、または起立中の平均心拍増加が35以上あれば、ポッツと診断します。起立中に腹部や下肢への血液貯留に対して、過剰な交感神経興奮やアドレナリンの過剰分泌によって生ずると考えられています。
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起立性調節障害は身体疾患ですから、まず身体面での治療を進めます。すぐには改善しませんので、焦らず取り組んで下さい。治療には、非薬物療法と薬物療法があります。まず非薬物療法から開始します。規則正しい生活リズムの回復、塩分が1日10~12gで、水分は少なくても1日1.5リットル摂取するようにします。薬物療法では、昇圧剤のミドドリンなどを用います。また加圧式腹部バンドや圧迫ソックスなどの下半身圧迫装具は、無駄な血液貯留を防ぎ速やかな症状軽減に役立ちます。
一方、起立性調節障害はさまざまな精神的ストレスで悪化することがあり、心のケアが有効なこともあります。もし、それが解決できそうならば進めますが、すぐには無理であるならば、解決するまでゆっくり待つ、という方法をとります。友達関係のこじれであれば、心の引っかかりもすぐには解決し難いので、本人の心が回復するまで保護者も教師もゆっくり見守る姿勢が大切です。ただし、本人が心を打ち明ければ正面から取り組んでいただきたいと思います。
どのような状態を「治る」と考えるのか、それによって答えも変わります。ここでは、身体症状があっても薬を服用せずに日常生活に支障が少なくなった状態、とします。
重症度によって予後はかわります。日常生活にほとんど支障がでていない軽症では、秋になって涼しくなると軽快します。しかし、温かくなる春先に再発することが多いようです。学校を時々遅刻したり、たまに欠席する程に日常生活に支障がでてきた中等症では、回復に時間がかかるようになります。日常生活に支障のある中等症では、1年後の回復率は約50%、2~3年後は70~80%です。重症例では、朝が起きられないために、ほとんど欠席しますので成績も悪くなります。この場合、普通高校の進学は難しくなります。もし、入学できたとしても、朝の授業にたびたび欠席して、留年になることも珍しくありません。しかし、からだと心の両面から治療的対応がうまくいき、さらに体力に見合った高校(午後から授業の単位制高校など)に進学すれば、高校2年生ごろにはかなり回復し学業や運動にも支障がなくなります。重症では社会復帰に少なくとも2~3年かかると考えた方が良いでしょう。しかし、約9割の子どもが高校卒業し、大学進学率も平均並です。
1.「起立性調節障害は身体の病気であり、起立や座位で脳血流が下がり、思考力・判断力が低下する」ということを、保護者や学校の先生などの周囲の人がまず理解してあがることが大切です。午前中に症状が悪くなり学校を遅刻しがちになるが、午後~夜に体調が回復して、テレビやゲームで楽しそうに遊んでいる姿をみると、「どこから見ても病気とは思えない」というのが、保護者の本音です。しかし、最先端の検査を行うと明らかな異常が見つかるのです。決して仮病や怠けではないと考えましょう。保護者、学校の先生の理解が得られることで、子どもは安心し症状軽減につながります。
症状が悪くなるのは、1日の中では午前中、そして1年の変化でみると、血管が拡張しやすい春先から夏の時期です。寒くなってくる秋~冬は、手足が冷えやすい、という問題はありますが、全般的に体調が回復することも知っておいて下さい。
2.「この病気は心の持ち方次第でよくなる」「だれでも朝は辛いけど、みんながんばっているんだ」と言って、朝から家に迎えに行く教師がおられます。かえって子どもが拒否的になってしまい、引きこもりを起こすことがあります。起立性調節障害症状が改善する時間帯に登校する、長時間の起立や座位は脳血流を低下させるので、保健室や別室で楽な体位で学習できるような配慮が必要です。
3.担当医に診断書を提出してもらいましょう。起立性調節障害の子どもによって詳細は異なりますが、「学校生活すべてにおいて静止状態での起立を3~4分以上続けないこと」「暑気を避ける。夏に体育の授業を見学させる時には、重症度が中等症以上では、涼しい室内に座って待機させる」などの記載をしてもらいましょう。日常生活にほとんど影響が出ていない「軽症起立性調節障害」では、運動制限の必要はありません。症状のために学校を時々欠席してしまうような「中等症起立性調節障害」では、一見元気そうに見えても、競争を要する運動は避けてください。また、起立失調症状などの体調不良が出現したら、すみやかに臥位にして脳血流を回復させるようにしてください。学校をほとんど欠席して長期不登校となっている「重症起立性調節障害」では、登校した場合でも体育は中止します。
4.体調不良でも昼間は身体を横にしないようにします。また、散歩程度の運動は積極的に進めます。筋肉のポンプ作用で下半身への血液貯留を防ぐことができます。歩いても良いが、じっと立つのはダメ、ということです。
急性も慢性も
後頚部の激痛で発症する偽痛風発作。
高齢者を中心にみられ、特に女性に多い。
症状は急性の頸部痛として発症し、数日ないし数週間持続、時にはそのエピソードを反復する。
項部硬直、下顎部の疼痛、上肢帯の疼痛を伴う筋力低下を呈する例もある。
発熱を伴うことも多い。
検査ではCRP陽性、白血球増多、赤沈の亢進なども認められる。
発作時に非ステロイド系消炎鎮痛薬投与で改善することが多い。亜急性の経過や発作を繰り返す場合はコルヒチンや副腎皮質ステロイド薬が有効であった例が報告されている。
しかし76F3年前からの後頸部痛でCDSと考え、大後頭孔髄膜腫だった経験あり。
*参考
癌性髄膜炎は進行癌の約5%に合併し、原発巣として胃癌、肺癌、乳癌などの腺癌が多い。癌性髄膜炎は癌細胞が髄膜(くも膜下腔や軟膜)にびまん性に浸潤した状態で、脳実質転移とは区別され、細菌、ウイルスによる急性髄膜炎と異なり、亜急性、慢性の経過を示すことが多い。
症状としては、発熱、脳圧亢進による頭痛、悪心、嘔吐、比較的除脈、髄膜刺激症状(項部硬直、Kernig徴候)、脳神経症状があり、重症例(脳炎などの脳障害合併例)では、けいれん、意識障害などを認める。理学的所見、画像所見、腰椎穿刺による髄液所見(圧、細胞数、蛋白の増加、糖、Clは正常であることが多く、細胞診で腫瘍細胞を認める)により診断したとする報告が多い。
画像診断として造影MRIが有用であり、脳表面に沿って造影効果を認めることが特徴的である。
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物忘れ(認知症)外来
頭痛外来(6歳以上の小児を含みます)
パーキンソン病とその類縁疾患
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現在、予約は再診患者さんで若干込み合っている状態です。
恐れ入りますが、初めての方は、予約無しで、お早目の受診をお願いいたします。
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2017年から、1時間当たりの予約患者さんの数を減らし、以前に比べると、はるかに待ち時間は少なくなりました。
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