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2012年神経学会学術大会速報(3日目)後編

第3部 よりよいてんかん治療を求めて

溝渕 雅広
中村記念病院神経内科副部長

3症例を呈示。

症例(1) 32歳女性。視覚異常から始まり、意識が減損する発作。

X年 AVM(動静脈) Op後発作が出現。テグレトール投与。発疹出現で中止。
X+1 左手のぴくつきと、左下視野からきらきらするもの。エクセグランで効果不十分。
X+2 妊娠希望有。
さあ、どうする?
選択肢としては、ベンゾチアゼピンの追加、イーケプラ追加、ラミクタの追加。
この例では、ラミクタを追加し、視覚のみの発作に抑えることが可能だった。ラミクタで皮疹が出易いといっても、10%程度なので、ためしてうまくいった例。

症例(2) 44歳女性。気が付くと違うところにいる、発作。

X年 糖尿病もあり、低血糖発作だと思っていた。
X+1 記憶が減損。
X+2 路上で倒れて救急搬送。その後、月2、3回、自動症をともなう発作に職場の同僚が気が付き、てんかん外来受診。自覚はない。
欠神との鑑別も必要だが、数分間続くため、それとは違う。
テグレ200mg使用で発作は抑制できたが、低Na血症になり、中止に。エクセグランでは、めまい・ふらつきあり。
X+4 発作の回数が増えた。MRIで両側海馬に硬化像。両側なのでOpはできない。エクセグランを500mgから400mgに減量し、イーケプラ1000mg、アドオンで発作月1回に減少。

症例(3) 30歳男性。意識消失発作。

X年 強直間代発作。デパケン投与で年2回程度の発作。
X+8 発作が増え、毎月に。脳波では、前頭葉優位、左やや優位のてんかん波。
フロアから質問。「デパケンの血中濃度は?」講師「100以上で、十分効いていると考える」
フロア「発作型は特発性全般発作でいいのか?」パネラー「前兆はないし、脳波での左右差もわずかなので、部分発作ではない」本来であれば、デパケンにラミクタをアドオンするのが、ファーストライン。
しかし、この時講師は脳波の左右差に注目し、部分発作かも、と考え、テグレに変更。これで効果あり。(パネラーから、「そもそもテグレは、全般発作にも適応があるから」と発言)しかし、睡眠時にミオクローヌスが出てきた。最終的には、
X+12 デパケン+フェニトイン+トピナ(このころはラミクタがまだ販売前だったので)の併用で、発作はなくなった。しかし、物忘れ・食欲低下で仕事ができない状態に。
トピナはミオクロニーにはよかったが、物忘れの副作用。テグレは、全般発作には効果があったが、ミオクロニーには効果がなかった。
その後ラミクタが発売され、切り替えたところ、発作はなくなり、IQももとにもどった。

【まとめ】

若年女性、認知症、うつにはラミクタ。
高齢では、ラミクタ・イーケプラ。ラミクタで薬疹がでた・発作が増えた場合はイーケプラ。
ラミクタはQOLに良い、イーケプラはよく効く、というイメージ。
最後に、全般的に、てんかん治療中は自殺企図にも注意が必要。

2010年アメリカでのデータで、トピナに比べ、ガバペンで1.42倍、ラモトリギンで1.84倍、オキシカルバゼピン(日本未販売)で2.07倍、チアガビン(日本未販売)で2.41倍、デパケンで1.65倍自殺念慮・自殺行動が高かった。自殺行動のリスク上昇は、処方後30日以内に生ずることが多かった。症例数が約4万例と少ないため、実際に自殺が増えるかどうかはわからないが、配慮が必要。

最後のセッションが終わると、夜9時。家に着いたのは11時過ぎでした。学会に行くと疲れます。自分が診察中、不機嫌になっていたりして。

それでも3日目も、夕方は会場を抜け出し「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想展」に。ほつれ髪、のデッサンが唯一見どころで、入場料1500円は高い。しかし、パルマの国立博物館で出会ってから、久しぶりの再会を楽しめました。パルマでは、ほかに鑑賞者が0で、独占状態でしたけど、日本では相当の人出でした。

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白鳥内科医院

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