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2012年神経学会学術大会速報(3日目)後編

第1部 求められる抗てんかん薬のパラダイムシフト

まずは1部
山本 貴道
聖隷浜松病院院長補佐兼てんかんセンター長

現在日本でも、新規抗てんかん薬が使えるようになり、世界より遅れている*が治療の選択肢が増えた。
アメリカのエキスパート・オピニオンでは、 部分発作には旧薬 CBZ(テグレトール) 新規 LTGラモトリギン(ラミクタール)LEV(イーケプラ)、TPM(トピナ)、GBPガバペンチン(ガバペン)。ガバペンはミオクローヌス発作をかえって悪くするため禁忌。

全般発作には旧薬 VPA(デパケン)、新規 ラミクタール。デパケンと併用すると、この薬の代謝が遅れ、体に長く残る(半減期が約2倍延長)。そのため、併用に際しては増量をよりゆっくりする配慮が必要。逆に、INHフェニトイン(アレビアチン)、テグレトール、フェノバルビタール(フェノバール)は、この薬の血中濃度を低下させるため、併用する場合は、増量するなど服用量に配慮が必要。

欠神発作にはデパケン、エトサクシミド(エピレオ)。**
旧薬の注意点。 デパケン 二分脊椎を代表とする畸形発生率の上昇(1000mg以上の使用)、胎内曝露児でのIQ低下。したがって、妊娠可能女性には、今後はより配慮が必要。アレビアチン 多毛、歯肉増殖、骨密度の低下、があるので、小児と女性には、使わない。投与量の増量の際、あるポイントから血中濃度が急に上がることにも注意。
精神症状に対する効果には配慮が必要。ゾニサミド(エクセグラン)は、眠気、食欲不振に加え、意欲の減退、動作緩慢、不機嫌。イーケプラも易刺激性があり不機嫌になることがあるようだ。逆に、ラミクタールには、うつに対する適応もある。

高齢者には、ラミクタがよい適応。初期投与量の50mgでも足が立たなくなる例もあるので、ふらつき・眠気には注意が必要。少量で効果が見られれば、そこでドーズアップは中止していい。

ラミクタとデパケンの併用は、発作抑制効果は高いが、ラミクタの血中濃度が上がり、副作用が出やすいため、注意が必要だ。

●症例提示。脳Op後に部分発作が発症した例。テグレは薬疹がでて使えなかった。全般発作の面もあるかと考え、デパケンで投与したが、発作が治まらず、血小板の減少も見られた。デパケンを減らし、ラミクタをアドオンすると睡眠時の複雑部分発作を含め、発作が抑制できた。ただし、テグレで薬疹が出た場合、ラミクタでも出やすいので、注意が必要。少量づつ増やす、発疹が出たらいつでも中止できるように、患者さんが連絡取りやすいようにしておくことが大切。

【パラダイムシフトのまとめ】

今後は、ラミクタとイーケプラが、キングとクイーンの座に。

*このいわゆるドラッグ・ラグは、医療費抑制のためです。世界に誇っていた国民皆保険のために、有効な治療を受けられない[自費なら受けられるといっても、ドクターサイドが慣れていない薬は、実際には使えません]というのは何とも皮肉です。抗がん剤ではさらに問題が大きいですね。

**日本では、ザロンチン、エピレオの名前で市販されているが、ザロンチンは製造中止、エピレオの方も「売れなければ製造を中止」という状態になっている。

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