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2012年神経学会学術大会速報(2日目)IV.高齢者てんかんについて

IV.高齢者てんかんについて

辻 貞俊
産業医科大学神経内科学教授

高齢者てんかんとは、65歳以上で発症したてんかんおことを指すことが多い。若いころからのてんかんがキャリオーバーしているのは別。

治療で発作がなくなっても、薬剤中止後2年で30%再発、と再発率が比較的高いことが特徴。だから、治療の中断は慎重に。特に脳波異常が続いている場合、強直間代発作の場合は、再発率が高い。

頻度は2%程度と思われる。

症候性(原因となる病気が別にある)は約半分で、多くが脳卒中、次いで認知症。半分は特発性(原因がわからない)。

発作型は、側頭葉てんかんであることが一番多い。しかし、若い人と違い、発作後もうろう状態が数時間、長いと数日続くことが特徴。全身をスイングするような、過運動発作(前頭葉てんかん)も見られる。

初発時に診断に至ることは、75%程度。25%は診断がつかない。

若い人の側頭葉てんかんは、前兆を伴うことも多いが、高齢者だとないことが多い。若い人は2、3分のことが多いが、数時間から数日もうろうとすることがある。だから、認知症と間違えられることがある。しかも、3割は脳波が正常であり、診断がつきにくい。

一番の鑑別診断は、失神(アダム・ストークス発作)。ほかに、TIA、TGA、ミオクローヌス、レム睡眠時行動異常、心因性非てんかん性発作、など、鑑別診断が多いのも、高齢者の特徴。

しかも、高齢者の失神の12%は、けいれん発作を伴うからやっかいだ。

服用中の薬剤の影響もありうる。

朗報もある。診断は難しいが、治療は簡単である。再発率が高いことから、初回発作から投薬開始する。これは若い人との違い。少量から、併用薬に注意、家族にもちゃんと薬を飲む必要があること教育する、ことが大切。

薬剤選択は、アメリカのガイドラインでは、(複雑=意識がなくなる)部分発作の場合、合併症がなければテグレトール、ラミクタールの順。あれば、levetiracetam(LEV)、ラミクタの順。全般性発作の時は、ラミクタ、デパケンの順。80%は単剤でコントロール可能。

アルツハイマーの10~22%にけいれんを伴うことにも注意。特に発症から6年以上だと。これは一般人口の5~10倍。95%は予後良好。

ラミクタで意欲の改善がみられるのは、前頭葉に聞いているからかも。認知機能が改善することも知られている。血中濃度のモニターは原則不要。1-15μg/mlが目安。副作用の発疹は、デパケンの併用で高まる。日本では併用しか認められていないから悩ましい。確率は6.2%と、8.7%のテグレトールより多いわけではない。(テグレそんなに多いかしら?)フェニトインではもっと多いし。

高齢者という点は離れ、ラミクタは女性に優しい。体重や生殖への悪影響が少ないから。しかし、妊娠中の安全が確立しているわけではない。デパケンとの併用で催奇形性が増える。子宮内曝露での児IQの悪影響もなし。(高容量のデパケン1000mg以上で見られる)

認知症に話を戻すと、アリセプトでも失神を起こすことに注意。アダムストークスを起こすのだが、けいれんを伴ったり、除脈、AVブロックという特徴がある。(ここ岩田先生の補足)

中止の目安は、発作が3年以上なく、脳波が正常、という条件だが、多くの患者はその前に中止したがる。

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