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第31回日本認知症学会出席講演のまとめ(1日目)教育講演1

II.「教育講演1」

1.代表的な認知症疾患のMRI、SPECT画像

*ADのSPECT初期から後部帯状回の血流が低下するのは定説に。
*74才M。健忘性MCI。MRIでは軽い萎縮と虚血変化。PETではAβ蓄積なし。MRIdiffusiontensorimagingで白質繊維が低下。慢性虚血変化と診断。

*フロアから
晩発性ADと嗜銀顆粒性認知症の鑑別は?MRIで、側頭葉内側面前方の左右差をもった限局性萎縮を高頻度に呈するため、VSRAD値(2.0を超えると9割以上の確率でADの疑いがある)がMMSEに比し高値をとる。ここのところかみあってなかったので、自分なりに解釈。

2.てんかんと認知症の接点

高齢者のてんかん、内側側頭葉てんかんTransient epileptic amnesia 扁桃体腫大、くすぶり型脳炎のてんかん、側頭葉Op後に言語を保つ工夫、を話す。

*アイスランドのデータ。70歳以上では小児よりてんかん発症が多い。CVDと変性疾患に基づく。AD、その他の認知症、CVD、アルコール摂取、うつがリスクでoddsを高める。
*高齢てんかんの特徴(1)非けいれん性発作(2)患者自身には自覚がない(3)初発後再発が多い66~90%若年では30%(5年間)。(4)前頭葉てんかんが比較的多い側頭葉CPSが一番多い。(5)軽微な意識障害が多い。⑥夜間の発作TGAの一部は高齢てんかん
(このあたり早口でよく理解できず。質問の時間もなし)。

*MTLE海馬硬化が70%見られる。熱性けいれんの既往。初発は5歳前後だが、いとどよくなったのち、思春期にCPSとして再発。
*SPSCPSは、アウラを問診するのがポイント。デジャブ、ジャメブ。
*38歳F。右利き。2歳熱性けいれん。4歳全般発作。13歳CPS。ヴィデオ。最初苦しそうな様子。アウラ。→前方凝視、口自動症。右手ジストニア、左手自動症。→2次性全般化。ここだけ見ると、GSに見える。左MTLEとMRIなどで診断。
*高齢MTLEも基本は一緒。ここで産経新聞の記事が紹介されていたので以下引用。
*症状の例としては、目の焦点が合わない(一点凝視)▽舌なめずりするように口をぺちゃぺちゃさせる▽ペンを何度も持ったり置いたりするなど無意味な行動を繰り返す▽意味なく動き回る▽何年も前のことは覚えているのに、最近、これはたとえば数週間前にあった重要なイベント(旅行や子供の結婚式など)の記憶が前後関係なくすっぽりと抜け落ちている▽呼ぶと生返事をするが、後で聞くと返事をしたことを覚えていない▽反応が鈍い-などが挙げられる。

*「時々」が特徴
「自動症」と呼ばれるこれらの症状は一見問題ない言動に見えるが、受け答えが会話のつじつまに合っていなかったり、やっている動作が無目的だったりする。また、本人に後で聞いても覚えていない。「認知症と異なるのは、普段はしっかりしているのに時々こうした症状が現れること」と強調する。急に気が付くことも。「周りの人は『何だかぼけているな』と見過ごしがちだが、診断ではこうした症状が何日かに1回あるとか1カ月に1回あるとか、そういう情報が重要になる」。余裕があれば、携帯電話などで症状が現れたときの様子を動画に撮り、医師に見てもらうと良い。

*TEA The syndrome of transient epileptic amnesia.
一過性のてんかん性の記憶喪失の症候群。バトラー2007年。原著のサマリーをここで紹介、なにせ急ぎ足でした。一過性のてんかん性の記憶喪失は、晩年に生じます(始まりは平均62才)。健忘発症が頻繁で(12回/年)、短く(30~60分)、しばしば覚醒で起こる(37/50)。癲癇と最初から診断されたのは、50のうちわずか12例。47人の治療をうけている患者の44人で、抗痙攣薬物に効果があり。50例のうち40例は、持続的な記憶困難あり。標準的な記憶検査の通常のパフォーマンスにもかかわらず、患者は3週間にわたる、ことばや視覚の記憶が低下。過去40年のライフイベントの記憶も低下。EEGは30%正常。MRIも正常。いったい何で診断したの??
*NHKのがってんでは、60才代で突然、まだらに、短時間ぼける、と紹介していた。
*64才M。物忘れ、意識減損が主訴。2年前からうつ傾向。他院で抗うつ剤、改善せず。問診したところ、ジャメブあり。MMSEはいいが、3週間前のこと忘れてしまう。近時記憶は良い(ADとの違い)。MRで扁桃体腫大AEあり。中年から高齢者てんかんTEAの特徴。AEと複雑部分発作CPSを主症状とするMTLEとの関連。

*くすぶり型慢性脳炎のてんかん発作
抗LGI1抗体陽性辺縁系脳炎の特徴は、男性に多い、低ナトリウム血症が多い、髄液異常は多くない、悪性腫瘍の合併は少ないことが挙げられる。ステロイド、ガンマグロブリンなどの治療への反応は良い。このあたりも聞き取れず書き取れず、臨床神経からの引用。
*62才M。全般けいれん発作で発症、記銘力低下。

3.今日の標準的な神経心理評価

*FCSRT-IRがはやり絵のカード見せて「果物は?」A「ぶどう」など
*MMSEは低下に鋭敏
*PCの検査これから増える

4.認知症の原因となりうる稀な神経疾患

これは、一昨年精神神経学会で聞いた教育講演とほぼ同じ。おどろいたことに半分くらい忘れていた。これぞ健忘か?やはり復習は欠かせない。

(1)感染症
*ヘルペス以外の脳炎
*72才M。認知の低下で受診。ある日突然覚えていない。髄液所見有、神経内科に。(1)左下肢にヒョレア様運動。(2)認知能低下。日本脳炎IgM抗体で証明。60-70%で不随意運動。
*66才M。悪性胃リンパ腫の既往。物忘れ、自発性の低下で受診。本を読まなくなった。HDS-R10点。MRIでは白質病変。しかし、マスイフェクトなく、悪性リンパ腫の再燃としては不自然。髄液でJCVヴィールスを証明。PMLだった。AIDSと悪性リンパ腫が危険因子だが。近年は、分子標的薬や免疫抑制薬の治療後の発症が増えた。リツキシマブやMS治療薬のナタリズマブ。メフロキンで治療。MRIで特徴、脱髄疑ったら考える。

(2)栄養障害
*B1欠乏。ベリべリかウエルニッケ脳症に。そしてウエルニッケの75%はコルサコフになる。ウエルニッケの三徴。(1)意識低下。(2)眼球運動障害=水平性眼振。(3)歩行障害。麻痺はないのに。
*67才M。最近5か月のことを忘れる。パペッツは記憶の回路と考えられている。その乳頭体から視床への経路がおかされた。(ビタミン入れずに糖を入れると意識障害を起こす。)同じことは、BAの梗塞でも起こる。両側視床内側。
*コルサコフ前方性健忘。過去の記憶は好かったりする。

(3)自己免疫疾患
*64才M。感情失禁、易怒性、HDS-R28点。右海馬にクリっとしたT2↑。これが決めて。LGI1抗体陽性辺縁系脳炎。悪性腫瘍なしの辺縁系脳炎の代表。見当識障害。男性に多い、低ナトリウム血症が多い。側頭葉にMRIで所見。ステロイドが効く。
*57才M。物忘れ。3年前から物の名前が出ない。2年前から筋力低下。VaDと診断。MRIもそう。しかし、あれ、脚の色が!Sneddon.網状皮膚炎と脳血管障害。血管炎と考えられる。進行性の認知症だが、皮膚生検で炎症が証明されれば、ステロイドが効果。そうでなければワーファリン。

フロアから。

  • ほかに見逃していけないのは?
    AVF。腰髄は有名。頭にもある。SDHやNPHと同じく見逃してはいけない。塞栓すればよくなる。脳皮質静脈の拡張所見をMRIで。フローヴォイドを見落とさない。
  • サブアキュートと考えていいか?
    そうだとしてもわからないこともあろうかと。少なくとも亜急性なら絶対変性以外を考えるべき。
  • アルコール依存で、ペラグラ脳症だったことも経験あり。皮膚症状はなくて。ナイアシンが低下していた。画像で診断できるか?
    全例は無理。ウエルニッケも全て乳頭体に所見があるとは限らない。ウェルニッケ脳症はMRI上、かなり明瞭なパターンにより特徴づけられる。視床、乳頭体、蓋板、中脳水道周囲にほぼ対称性に画像変化が認められる点だが。症候学を大切に。

5.DLBの失神およびRBD

これが1日目の最後の演題。気合を入れて。
*DLBは認知機能の変動が特徴。実際眠くなる。DAとは無関係の症状。Achの日内変動?EEGも変化する。
*なぜRBDから幻覚に?幻覚のあるRBDは、パーキンソン病になりやすい。
*失神PDD、DLBはよく転ぶ。パーキンソニズムではなく、失神による?
*頸動脈洞症候群は、DLBで多い。OHも多い。自律神経症候。
*RBDのあるPD。自律神経症候が多い。MIBGで低下。PD、LBD、RBD。
*iRBD//自律神経だが、
iRBD+MIBG低下が、必ずしも将来のPD、LBDに結びつかない。
*iRBDから変性疾患になるのは、40%。たとえばPD、平均12.7年を要す。最低5年以上。
*RBDと失神、どちらが早い?同時だろう。
*RBDのないDLBも25%ある。大うつからDLBになる場合にはRBDない。最初から視空間認識が悪い。大脳型。ブラークの脳幹型とは違う経路。この場合は逆に認知症がない、PDになる。

フロアより

  • (私)RBDは、PSGして診断すべきという午前中の演題にあったが、実際なかなかできない。どう診断する?
    特徴のある夢の内容を覚えていれば、RBDと考えていいだろう。小阪Dより、大声の寝言があって、その後行動異常がでてくれば、RBDと考えていいだろう。確かに、てんかんでは内容のある寝言は言わないだろうと考えられる。

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白鳥内科医院

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2017年から、1時間当たりの予約患者さんの数を減らし、以前に比べると、はるかに待ち時間は少なくなりました。


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