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アルツハイマー病研究会(平成26年4月19日)

昨年から出席している、エーザイが後援している研究会のまとめです。
会社が後援しているにもかかわらず、内容が偏らないため、大変人気のある講演会です。


開会のあいさつ

来週VIPが来る
DSMⅤがアメリカでた 認知症ディメンシア、と言う病名がなくなった
診断基準の廃棄 ドメインを設定し、NCD神経認知障害と診断する
欧州は?
アリセプトの効果を3年間ADASで評価する
894例の中間報告
ADASであまりばらつきのないデータが得られた
FASTはいろいろ 改善も悪化も


プレナリーセッション

1.アルツハイマー病診療のスキルアップを考える~この症例をどう診るか

よく見る病態の理解に役立てるのが目的

症例1

78F 右利き つじつまが合わない言動 物忘れ
半年前 物忘れ
1ヵ月 ぼー
MMSE 14 全般性に低下
貧血 CRP
髄液蛋白
左前頭白質T2強調 浮腫
脳腫瘍を一番疑ったが、病理で
血管壁の破壊 巨細胞 Aβ 老人班
Aβ脳アミロイド血管症に関連する巨細胞性血管炎
ステロイドパルス その後経口 3割は再発するので少量で継続 改善
その2年後 緩徐に物忘れ進行
MMSE 10点 とりつくろい
海馬から海馬傍界にかけ萎縮
アルツハイマー病

50歳以上で急性または亜急性
意識障害 頭痛など
白質病変 髄膜のGd造影効果

アリセプト初期から使っていいのでは?
脳血流は? CAA強いので、虚血の影響は?

症例2

精神科からの例
72F 右利き 外に人がいるという 怒りっぽい
68才 物忘れ 料理の最中?に 臭いが分からない
70才 焦燥
71才 物盗られ アリセプト リスパダール 検査は怒り出してできない
72才 孫が来ている
パーキンソニズム 軽度固縮
眼球運動は良い
紙おむつ
SPECT左右差
リスペリ、アリセプト中止しても焦燥、パーキンソニズムは改善しない
73才 多動 転倒 骨折
74才 筋緊張
76才 誤嚥性肺炎
側頭 前頭 扁桃核 頭頂萎縮
レビー小体陽性
タウ病理 シヌクレイン病理ともに右優位
AD病理高度 LBDびまん型 TDP-43陽性(これはたまたま?)重複病理だった
臨床ではアルツハイマ―病とレビー小体型認知症の合併と考える ADからLBDが追加される例はよくある

バイオマーカーがほしかった

症例3

在宅医療での対応
物忘れ外来から開業に
82F 物忘れ 物盗られ妄想
警察署になんども泥棒相談
包括から医院に
妹が来院 一人暮らし
本人、妹も独身 不動産管理
日常生活はできる
本人は認知症を否定 妹の指示嫌がる 病院嫌がる
医療受けないと介護もうけられない
病院嫌がるが、診察は嫌がらない したがって往診した
かかりつけ医だと、画像診断や検査を受けることがある
まずは医療サービス 介護は嫌がる人が多いので
主治医変更で処方変更も どうせ1年間は服用していない
1回往診しただけで、訪問看護から開始 外来受診、服薬できるように

症例4

59才M 記憶障害
56才から職場でうすうす
58才 娘のだんなを覚えていない
飲酒
CDR1
長谷川14点
脳溝の開大 側脳萎縮
両頭頂側頭血流低下
食道がんで死亡

病理

①老人班Aβ 老人班の数 CERAD 1991Neurology 
拡がり 新皮質→基底核・海馬→脳幹・小脳

②神経原線維変化 タウ沈着 Thal
拡がり 海馬 
若いがアルツハイマー病

アルコールに関連した意識障害、注意力低下はなかった
若い人だと純粋にアルツハイマーだったりする
高齢になると合併する さらに高齢では神経原線維変化だけの例
15歳で発症したアルツハイマーがある

座長のひとこと
病理で確定した例は大切
臨床は難しいことが

多彩な症例

2.認知症有病率から見えた現状と課題

筑波地域での三段階診察
スクリーニングから診察に
地域の70%以上診察
認知 70歳以上 5歳刻みで倍増する 70歳以下は2% 85才で42%
介護保険 70才 2% 95才で80%
臨床診断 アルツハイマー型67% 血管性20% レビー4%
久山町 病理で10%
男性は75歳以上で横ばい 女性はどんどん増える 75-90才 男性は死亡してしまう
MCI CDR0.5 65才から増え 85-89才でピーク

アルツハイマーの予防研究
API コロンビアの村 メデリン 45歳で発症 遺伝性AD
アメリカからPETセンター 治験薬で介入

認知症の予防 発症のあと倒しに
運動 有酸素運動だけは証拠がある 週3回以上30分以上 糖尿病と同じ 前頭前野の機能を高める 遂行機能がよくなり こうらく因子として社会的交流などもある
食生活
うつ病
高血圧
2型糖尿病
肥満
禁煙
知的不活発

アルツハイマー型認知症の危険因子
80歳以上で効いてくる 若年性には無関係
中年の肥満 老年期のやせ
DMは危険因子だが中年期発症がよくない 高齢なら無関係
高脂血症は、老年期の認知機能維持に働く

生活習慣の総決算が認知症だよ


トラックセッション

1.認知症の症候学~初期症状を中心に

①認知障害の初期症状
やはり記憶が大切
陳述  中でもエピソード記憶が大切 意味記憶
非陳述

本人と家族から 一貫した低下を確認
テストだけでは難しい
pre-MCIからCDR1になるまで ワシントン大学

では、異常を検出するには?
個人内の低下に注目 認知予備脳の高い人で有用
遅延と即時の差
遅延再生と一般的記憶との差
遅延記憶と結晶性知能 WAISとWMSの利用
ADで低下しにくい単語、知識
本人の自覚と家族の評価の差 病識の低下
アルツハイマー非移行例では、本人の自覚が強い
IADLの服薬管理
若年はいろいろ検討しないと

ヴィデオ 右側頭葉優位型のSD
「これはなんでしょう」
言葉は出てこないが、入院前のことを覚えている
「この先生、どなたでした?」名札に手をとって、顔はわからないが、診療内容はわかる

前回の診察内容は?と聞くのが大切
得点は悪いが日常生活は覚えているときは
集中力、考え無精、の可能性を考える
ひとりで受診する方は、悪くならない方が多い
ただし、診察室の外にいるかも

②BPSDの初期症状
AD 幻視幻聴が多い
LBD 初期から 人の幻視
気配
錯視

人物誤認
場所誤認

DLBでは半数に誤認 人

関係妄想
AD ものとられ
LBD 嫉妬妄想が多い

疾患特異性のあるBPSDがあるか?

早期からBPSDでることがあるか?記憶障害の前から

ADとDLBの初期BPSD検討
MMSE 21点以上
初診時の聞き取り 本人と介護者
物忘れ AD100% LBD80% 転ぶ、寝言はDLBで多い70%
DLB 幻覚錯視は80% 誤認20%(人物・場所・いない身内がいる・テレビ)
初期ADでは30%BPSDがない DLBでは100%

AD 初診の20か月前から物忘れ うつは27か月
  DLB もの忘れ15か月 うつ40か月 幻覚など15か月前 つまり物忘れと並行

DLBでは40%で幻覚 誤認が物忘れより先行
うつは両群で70%先行
DLBでは半数の患者でなんらかのBPSDが先行 幻覚4年以下 誤認2年 妄想半年
ADでは15%で妄想が先行 4年以下

症例1 85才F

2年前から 母が迎えに来た 子供が来た 落ち込み MMSE21点
症例2 71才F うつの診断 周囲が非難している 被害もうそうが出現

DLBでは RBD 嗜眠 転倒 調子の変動 パーキンソンに注意

③精神疾患との鑑別
うつ病と認知症
FTDと
ADHDと

うつ病との鑑別は困難
似てる 意欲低下 認知機能低下
併存も多い 前駆症状としてのうつ

認知機能の低下

62才F 主婦

4年前から軽いもの忘れ
1年前道迷い 不眠 食欲低下 旦那との関係
抗うつ剤でうつは改善 物忘れが治らない 転々 MMSE 20点
熊本大学に
小声 遅い GDS12点 名前覚えられない
うつの印象
しかしMMSE 11点 模写ダメ
ADL上着をズボンとして着る SPECTで頭頂、側頭低下
認知症としては若い
うつだけで初診時MMSE20点説明できるか?
高齢者のうつ病とMMSE
Serial 7が低下(注意の低下)

うつは認知症に伴いやすいBPSD
器質性 不適応 周囲の無理解

鑑別には認知機能低下のパターン 機能画像

FTLDとうつ
FTDは人格障害 行動異常で精神疾患と間違えられる
脱抑制 無気力 共感性の低下 保続 食行動

FTLDと疑い
27%がFTLD
そううつ 脱抑制
発達障害アスペルガー 共感の欠如

78才F 主婦

7年前 わがまま 9年前事故をきっかけ
3年前 施設 問題行動 砂糖たくさん入れる
診察 なれなれしい 冗談 誇大 
生活歴 昔から変わっている 引きこもり
そう状態と性格変化

そうとFTLDとの違い F他人に無関心

50歳M 行動障害 公務員

高額なものを買う 約束を守れない 飲酒が加わり顕在化
生活歴 もともと気持ちを話すことはない 感謝もない 車や服だけ関心 自己判断 気分に波
MMSE 30点
発達障害

病歴に注意
認知機能低下のパターン
機能画像

多面的に評価を
認知症と診断されていて、精神疾患のこともある 精神疾患なら治療がある

52才M 自営業 物忘れ

3年前から注意不足 鍵を忘れたり
多弁 障害も認識
失敗エピソード覚えている
小学校の時落ち着きない
自立がもとに再度顕在化
アトモキセチンで改善
ADHD

④認知症の神経症状
ADの初期には神経症候はほぼない
非ADには多い

機能 構音 言語 歩行 排尿
生命 嚥下

 

AD 例外的 家族性ADで
末期は出る

眼球運動
コインを指標とするとうまくいく
律動性眼球運動 10円と100円

構音 発音
非流暢性発話 文法×
PNFA 努力性発語
純粋語唖 理解は問題なし しかしイントネーションおかしい
外国人が話しているみたい フォーリンアクセント
偽性球麻痺 ALSに
ダイナミックアフェージア

 

失語から無言に
行動異常FTD
偽性球麻痺 PSP CBD
MND

緊張
ゲーゲンハルテン
力を抜いて というとさらに固く
iNPH FTD PSP LBD

ミオクローヌス
ぴくつき
CBD fAD CJD

アステリキシス
肝性脳症

把握反射 本能性把握反応
PSP iNPH
『握らないでくださいね』
非ADを疑う

模倣行動
FTD
[真似をしないでね]と言っても 6割は模倣 これがFTD こんな簡単なテストでわかる!

協調運動 姿勢 起立 歩行
パーキンソニズム
失調性失行性 開脚 遅い 回転でもたつく iNPH 手の振りはある ペンギンみたい
失調 CBD MSA

自律神経障害
排尿   失禁iNPH 失禁と困難両方MSA 初期ADではない
OH 3分以内に20低下 PD DLB MSA 薬剤

⑤総合討論
病前アスペルガーでFTLDになることはないか?
脱抑制はあるが、人格が壊れた感じはしない
人との接触性が保たれている
この2点で、この例はFTDとは違う

うつと認知症と鑑別できない時、うつとして治療する?
うつの治療に反応が悪い時、アリセプトなど考慮する?
すべてセンター病院に送る?
エピソード記憶の障害があれば、うつだけではないだろう

高齢者の双極性気分障害 なにか抑制が取れて発症する?認知症で発症?
器質性の躁病の例で治療どうしたか?
気分の波、DLBでも多い。治療は生活上での支障で判断

2.治療学 認知症薬物治療の在り方

①認知症治療薬の開発と課題
今のところ対症療法

②治療薬増量と併用の在り方
アリセプト 
Tmax3時間 一番効果副作用でやすい
半減期90時間 2Wで平衡
8mgだと5mgの2倍の濃度
アセチルコリンを生成するCAT活性は、ADの進行とともに下がる
  分解するAChE活性は比較的保たれている
アセチルコリンエステラーゼ阻害作用 アリセプトは強い
5より10でさらに効果
10mgの長期効果
新たな改善のやまができる

介護サービスを受けるまでの期間
抗AChE 高ドーズだと12か月遅らせることができた

10mg 元気になる が一番見られる効果
10mgの安全性 攻撃性 2か月でなくなる
陽性BPSD評価 CMAI 投与前後で変化なし

アリセプトとメマンチンの併用効果
上乗せ効果がある
メマンチンはノイズを減らす
併用で施設入所遅らせる

③生活機能をふまえたBPDS薬物治療のあり方
男性 単身 こどもが介護者 攻撃的 認知症高度 退院しにくい
高度 男性 攻撃性で退院しにくい
そこで訪問看護
高齢の看護師がたまたま多く、奥さん心強い
外来中心に
症状は個人因子が大きい
それをある薬で、というのは無理だろう

症例 DLB

幻視 次から次にサプリ等試す コーノメソッドで
デイサービス拒否 訪問看護でOK 何にこまっているの?
便秘 夫がもともと過干渉 真に受けて大騒ぎ それが困る
クエチアピン12.5 オフラベルで屯用
便秘の治療 カマ
改善

84才F

同居を始めた長女に被害的攻撃的行動をとる
5年前夫の死で引きこもりがち
ひざが痛い
長女が通帳を盗るようになった、と言い続ける
長谷川R26点
介護は受けたくない
訪問看護
それまでは多趣味で社交的であることが分かった
介護予防教室に行くことに
外出が増えただけで改善

医療と介護の包括を

④認知症治療薬の薬効評価~脳科学と生活機能の統合的視点
患者であり生活者である
介護保険法 医療連携が前提
社会人
家庭人
生活者としての自己管理
記憶 エピソード 日記に書く記憶

総合的評価
介護時間
意欲低下
IADL
QOL

心理社会的介入
RO見当識訓練 回想法
情動面が改善 介護者の理解が進む のがいい点
心理介入効果はQOL-ADは改善 MMSEはしない

アリセプトの治験はCDRの改善を示していた

症例 75才 元助産婦

74才 仕事に支障
75才 煮物の味が変わった
76才 華道はできるが部屋はめちゃくちゃ
失語
アリセプトと心理社会的介入
改善
MMSEはそのままだが、ジャルゴンだったのが会話できるように
前頭から皮質下の改善

アリセプトのレスポンダー 社会的参画をしている人に多い
デイでは薬効の判定がしやすい 家庭より

アルツハイマー 聴覚選択的注意力が低下
静かな環境なら聞こえる
アリセプトがノイズを低下?
マイネルト核からの投射 内側 外側
視覚 聴覚

アリセプト6か月後の継続 40%
効果が感じられにくい
評価を社会的に行う必要

心理社会的介入を行うと、リハビリに結びつく

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白鳥内科医院

〒430-0814 静岡県浜松市南区恩地町192
電話:053-427-0007  FAX:053-427-0005


主な診療内容

物忘れ(認知症)外来
頭痛外来(6歳以上の小児を含みます)
パーキンソン病とその類縁疾患


診療時間

月曜日・火曜日・金曜日
9:10~11:00
15:30~17:30
土曜日・日曜日・祝日
9:10~11:00

学会、長期・短期研修など、水・木以外の休診日は、診療日時案内をご覧ください。

現在、予約は再診患者さんで若干込み合っている状態です。
恐れ入りますが、初めての方は、予約無しで、お早目の受診をお願いいたします。
お越しになる際は、必ず、時間に余裕をもっていらしてください。
認知症の診療には、多くの時間と手間がかかるからです。

また、再診で、予約の日に来られなかった方も、予約無しでお願いします。
混乱を避けるため、予約日時の取り直しは一切ご遠慮いただいております。

2017年から、1時間当たりの予約患者さんの数を減らし、以前に比べると、はるかに待ち時間は少なくなりました。


休診日

水曜・木曜
(毎週日曜・祝日診療)


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