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鵠通信 ― くぐいだより ―　第81号

家庭での血圧測定の秘密
血圧は、いったい何回測定すればいいの？

あなたの家庭には、血圧計がありますか？実は家庭血圧測定装置は日本で年間約七百万台が製造されていて、三千万台が各家庭にあると言われています。
家庭血圧の測定は、白衣高血圧・逆白衣高血圧（仮面高血圧）・早朝高血圧などを調べるのに有用であり、その重要性はますます増しています。
脳・心血管疾患の発症は朝方に多く、早朝高血圧が関係しています。この発見にも家庭血圧が重要。
もちろん、確実な予防には、朝の血圧の管理が必要になってきます。一日のうちで血圧が最も高くなるのは起床一、二時間後で、「早朝高血圧」が、脳出血や心筋梗塞の引き金になります。血圧には睡眠時に一番低値にあり、目が覚めて交感神経が急激に活発になると、心臓の働きが高まり、短時間で20mmhgほど上がります。
朝六時に起床すると午前七、八時ごろがピークとなります。さまざまな研究で、八～十二時が脳卒中の最多時間帯であることが報告されています。

■いつどのように測るの？
●いつ測るか？
朝は起床してから一時間以内で排尿を済ませた後で朝食の前に。
降圧薬を服用している方は内服する前に測りましょう。

夜は条件がそろえにくいのですが、就寝前に測ります。
ただし、お風呂に入った後二時間以内に寝る方は、お風呂の前に測ります。なぜなら、お風呂の後は血圧がとても下がるからです。

●どのような血圧計で測るか？
カフ・オシロメトリック法による装置で測ります。（一般的な電子血圧計はこのタイプです）
手首や指で測るタイプは人によって誤差が大きくなる可能性がありますので、上腕で測るタイプの血圧計を基本的に使いましょう。

●どのように測るのか？
イスに座って一～二分間以上は安静にした後で腕を軽く伸ばした状態で机の上において、上腕のカフ位置が心臓の高さとなる姿勢で測りましょう。
カフは心臓より20cm低い位置で測ると、収縮期・拡張期ともに7mmhg高めに結果がでます。

●朝と夜に何回測るのか？
朝夜それぞれ一回ずつ測るのが基本です。
一度に二回繰り返して測った場合は、その結果を二回とも記録し、平均値を出しておいてください。
一度に三回以上測るのはナンセンスです。
脈拍数も一緒に記録してください。脈が速いときは、甲状腺機能亢進症や睡眠時無呼吸のときもあります。

■家庭血圧の判定
●測った結果は・・・
朝と夜に測った血圧の結果は、朝は朝、夜は夜で平均値を計算するのが良いでしょう。
血圧が高いか正常かの基準は次の通りであり、病院の診察室で測った時の基準よりも低めです。

●高血圧
家庭血圧が135／80mmhg以上は高血圧、135／85mmhg以上では確実な高血圧で治療が必要。

●正常血圧
家庭血圧が125／80mmgh未満は正常

（注意）
正常血圧というのは血圧を下げる目標として確実なものとして認められているものではありません。降圧目標を決めるのには個々の患者さんごとに年齢や合併症（糖尿病・左室肥大・慢性腎機能障害・頸動脈プラーク・脳梗塞や心筋梗塞の既往）なども考慮する必要があります。治療中の方は必ず院長ともよくご相談の上で、家庭血圧測定を活用してください。