お知らせ

鵠通信 ― くぐいだより ― 第25号(平成17年8月)

今月号は、開院以来、三年間の歩みを振り返ります

「最初の三年間は、血のション便が出るらしいよ」

今も勤務医を続けている先輩医師から、こうおどかされて早三年。来月からは四年目になり、新たなスタート。開院一年目から始めた「くぐいだより」も、三年目に入りました。

この間、血のション便は出なかったものの、さまざまな出来事がありました。それを乗り越えてこられたのは、患者さんひとりひとり、スタッフ、業者さん、そして妻(事務長)、いろいろな方に助けて頂いたおかげ。私が気づかないところで助けてくださっている方も、たくさんいらっしゃると思います。感謝。

感受性が鋭く、創造力に富み、情緒不安定な私が、忍耐を学んだ三年間でもありました。開院以来、三名の患者さんが、当院の対応に激しいクレームを投げつけて去っていかれましたが、この数字は、サービス業を営む会社経営者(高校時代の同級生)に言わせれば、及第点。今では毎月1,100から1,700名の方(延べではさらに五割増)が、当院を訪れてくださいますので、私にとっても自慢の数字です。

患者様の幸福のために最善をつくす

これが当院の設立理念です。新たに開業なさる先生方の理念でよく見かけるのは、「地域医療に貢献し」の文言ですが、当院では、「幸福のために」です。どこに違いがあるのでしょうか?

その違いは、実は、両親をなくした私の体験によります。

現在、質的にはまだ十分とは言いがたいとはいえ、量的には、都市部で医療を受けられないことは、まずありえません。そこにもし足りないものがあるとしたら、患者さんひとりひとりが人として敬われ、大切にされるかどうかという点です。これを逆に裏返せば、患者さんが、医師をはじめ、病院で働くひとりひとりに敬意をはらう思いやりです。思いやりと敬いは、お互いの相互作用。

私の両親は、晩婚でした。したがって、二人ともに戦争体験者であり、その二人から学んだ最大の財産は、命への敬いです。父は、仏印に従軍し、苦しみました。戦争体験を語ることはほとんどありませんでしたが、肺がんで亡くなる前、うわごとで「早く日本に帰してください」とつぶやいていたことは、忘れることができない思い出です。そんな父を、エリート医師の主治医先生が、人としてどれだけ理解して下さっているのか、子供心に疑問でした。今振り返ると、「癌で死ぬことがわかっているのに、検査よりも大切なことはないのだろうか?」まずは人間として接して欲しかったというこの時の思いが、私の人生の中で、医療に対する最初の関心です。

その後母は、高校教師として、女手ひとつ、姉と私を育ててくれたのですが、あまりに忙しかったからか、途中で高血圧の治療を中断していました。それでも、私が名古屋大学に進学した後は、一安心したこともあり、地元のS総合病院循環器科に通院中のこと。帝王切開のあとの癒着から腸閉塞になり、「おなかが苦しい」とS病院の救急部に電話をしたところ、「循環器の症状ではないから」と断られ(少し前まではこんなことが日常茶飯事でした)、開業医の先生にお世話になりました。この先生は、ありがたいことに、夕方来院した母を、「手術は怖い」と言っていたからという理由で、翌朝まで点滴をしながら預かってくださったのです。しかし、腸閉塞は外科的緊急。翌日ほかの総合病院の外科に紹介していただいたのですが、手術がやや遅かったこともあり、もともと心臓が弱った体には負担が大きかったのでしょう。手術後ICUを出たあと数日し、ベッドで急死しているのが発見されたのです。このとき私は、名古屋に帰った直後でした。

「なぜS総合病院は、救急受診を断ったのだろう?」「開業医の先生は母がなんと言おうとその日のうちに紹介状を書いてくれればよかった」「手術の後、ちゃんと心臓をモニターしてくれていたのだろうか?」いろいろ思うことがありました。その苦しみの中でたどり着いたのが、「患者さんや家族の幸福を真に思いやり(そのためにはぶつかり合うこともあるでしょう)、命を敬うのでなければ、本当の医療とはいえない」という考えです。病院は、医療技術や薬を提供するだけのサービス業でしょうか?

当院では、受付で「薬だけもらえればいい」という患者さんは原則的にお断りしています。それは、なによりも「医療とは、人と人との相互理解に基づく信頼、思いやりであり、薬や技術を売るだけのサービス業ではない」という私の信念によるものです。ですから、もしあなたが、「病院は薬をもらえればいいところだ」と考えているのであれば、このエッセーを機に考え直してください。日曜祝日に診療をしているのも「そんな病院があれば、仕事をしながら母が通院できたのに」という思いから。

あなたの幸福に、ほんの少しでも当院はお役に立つことができるでしょうか。

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白鳥内科医院

〒430-0814 静岡県浜松市南区恩地町192
電話:053-427-0007  FAX:053-427-0005


主な診療内容

物忘れ(認知症)外来
頭痛外来(6歳以上の小児を含みます)
パーキンソン病とその類縁疾患


診療時間

月曜日・火曜日・金曜日
8:30~11:00
15:30~17:30
土曜日・日曜日・祝日
8:30~11:00

学会、長期・短期研修など、水・木以外の休診日は、休診案内をご覧ください。

現在、予約は再診患者さんで若干込み合っている状態です。
恐れ入りますが、初めての方は、予約無しで、お早目の受診をお願いいたします。
お越しになる際は、必ず、時間に余裕をもっていらしてください。
認知症の診療には、多くの時間と手間がかかるからです。

また、再診で、予約の日に来られなかった方も、予約無しでお願いします。
混乱を避けるため、予約日時の取り直しは一切ご遠慮いただいております。

2017年から、1時間当たりの予約患者さんの数を減らし、以前に比べると、はるかに待ち時間は少なくなりました。


休診日

水曜・木曜
(毎週日曜・祝日診療)


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